国民議会で野党となるものは何か

La Republique en marche党の議員が押し寄せてくるという報道に対して、他の政治勢力はまとまったグループとはならない。さらには、その取るべき態度に関しておそらく分断される。

エマヌエル・マクロンの一党による制圧が伝えられるなか、国民議会における野党の様相はどのようなものとなるのであろうか。6月18日の国民議会選挙の第二次決選投票が終われば、実際に大統領の陣営が圧倒的多数派を確保し、一斉にブルボン宮入りすることになるだろう。

予測によれば、La République en marche ! (LRM)とその連立与党MoDemは次の国民議会で577議席中400-455議席を奪うことになるらしい。絶対多数である289議員を大きく上回る成果となれば、この政党は1958年もしくは第五共和国の誕生以来、最も大きな支配勢力となるだろう。

このような覇権を前にすれば、他の政党が、大統領府から提示された法案の採択を妨げられるような力強い野党となることは困難であろう。大統領側の多数派を前にして向き合う勢力が、まとまった集団となりえない限りは。ある一つの野党と対立する与党以上に、いくつもの野党に対立する与党に直面しなければならない。反対勢力は、分断され、おそらく分裂し、そしてそれゆえ弱体化するであろう。共和党の指導者 フランソワ・バロワンは、6月15日のラジオ・モンテカルロおよびBFM-TVにおいて、エマヌエル・マクロンは「全ての権力を集約する、その取り巻きにはまず大したやつはいないだろう」とまとめている。

右翼は、LRMの議員たちに対して最も重要な集団となるあらゆるチャンスを持っており、野党の発言権の中心となる資格がある。予測によれば、右翼は50-100議席となるようである。こういった数字上の条件にもかかわらず、セーヌ・エ・マルヌ県の議員 クリスチャン・ジャコブが取り仕切っていたグループが持っていた破竹の如き支配力は、新たな執行部に対してどのような態度を取るべきかを巡って、内部骨折して著明に弱体化することになる。


無いに等しい社会党の抑止力
右翼の議員は、Thierry Solère (オードセーヌ県)やFranck Riester(セーヌエマルヌ県)のように、マクロン氏の提唱する改革を支持しようとしている「前向き派(constructifs)」と、Eric Ciotti (Alpes-Maritimes県)のような真っ向からの反対派の支持者たちとに分断されている。これは、大統領側の多数派を支持しようと考える人たちが、彼らのうちの1人であるエドワール・フィリップ首相の主導する政策を支持すべく、共和党とは並行して自分たちの独立したグループを作る可能性も否定しないほどである。特に労働法の改訂のような経済に関わる法案では。

社会党の抑止力は、それ自身が無いに等しくなる。この前与党は、任期終了したこれまでの国民議会の過半数を掌握していながら、15ー40議席を記録するにとどまる。新社会党とその連立政党が、一つのグループ、それは15議席以下と想定されるが、を確保できないことが確実であれば、その党員の大多数は各自がマクロン氏と向き合って、お誂え向きに横一列に並んで布陣しなければならない。

左翼の大半の候補者は、第二次投票でもまだ優位に立てたため、LRMと仲良く一緒に働く意志を隠さなかった。とりわけマヌエル・ヴァルス(エソンヌ県)、マリソル・トゥレーヌ(アンドル・エ・ロワール県)もしくはミリアム・エル・コムリ(パリ)の場合がそうであり、現職大統領の与党であることを旗印として、陣営を国民議会選挙に導いた。この人たちが、彼らの目の前にいた対抗勢力LRMを考慮しないという恩恵を与えてしまった。政府への信任投票が7月4日前後に行われることになるが、これが新たな当選者たちの分布を固定するだろう。その時、誰が野党もしくは与党にいるかが分かるだろう。

La France insourmise党(LFI)はといえば、反マクロンの主力でありたいと考えている。ジャン-リュック・メランションは、6月13日に「マクロン主義の前線にある反対勢力は我々だ」と言い放っている。彼も、国民議会で一党派を確保したいと考えており、この集団があることで、国民議会における彼の発言の機会と資金力という恩恵が与えられる。この目標は現実主義的なもので、予測によれば、LFIは共産党も含めて10ー23議席を獲得するようだ。7月12日に発表されたBVA社がL'Obs誌に対して行った調査では、さらに急進的左翼は、フランス人たちから、「エマヌエル・マクロンに対して現実的かつ有効な野党となりうる最有力勢力」であると認識されている(社会党の4%に対して42%)。

そして同様に、Bouches-du-Rhône県の第4区では当選にあたって好都合な立場にあるメランション氏が、たとえ一派を形成することができなくとも、おそらく彼が国民議会に加われば当局の政策を強く非難する最良の論壇を一つ確保することになる。

行動的アンチ・マクロン主義の現場においては、彼はマリーヌ・ル・ペンとの競合を余儀なくされることになる。しかし、メランション氏とは異なり、国民前線の党首が議会で党派を作ることができるとは期待できない。予測によれば、彼女の政党で公認されるのはわずかに1-4議席である。彼女は、Pas-de-Calais県の自分の選挙区で当選するには絶好の立場にあるものの、国民戦線の指導者たちが野党の先鋭部隊としてのし上がるために夢見ている10数名からは程遠く、彼女に付き従うのはせいぜい一握りの議員となるであろう。

報道されていたLRM派の優位や、予想されていた国民議会における野党の弱体化のために、マクロン氏の改革に対して異議があれば、それは議会の外部にはけ口を見つけるのではないかと想像されることを危惧する人々もいる。「とにかく議会ではきちんと討議が行われなければならず、さもなくばそれは街頭で終わってしまう」と、上院共和党の総裁ジェラール・ラルシェは6月13日のPublic Sénat放送局で警告している。

もう一つ挙げられる仮説は、国民議会におけるマクロン主義者の一団からの反乱がありうるというにとどまる。しかし 今のところ、自分が当選したのは大部分がマクロン大統領のおかげであるという議員たちの階層であれば、このような挙動を予想させるものは何もない。
(Le monde紙 2017年 6月16日)