市民主導の国民投票:「蛍光保安着」の人々に好評な措置に関する6つの疑問

市民主導の国民投票:「蛍光保安着」の人々に好評な措置に関する6つの疑問
この運動が先駆的に要求している、この形態の市民投票は複数の様相を取りうる


「RIC」、蛍光イエローのプラカードに大量に書き込まれたこの小さな黒い三文字が、12月15日にはフランスのあちこちで示威行動をおこなう「蛍光保安着」の列の中に見受けられた。「RIC」、つまり「市民主導の国民投票(référendum d’initiative citoyenne)」のことである。先の数日間では、やりくりが苦しいことの告発や、ある様相をとった「税制への嫌気」がまず第一の特徴となっていながら、彼らの何名もの人物がル・モンド紙の記者に対して繰り返し強調したのは、特にこの要求についてである。
しかし実際にこのRICの背後にあるものは何か。それはどのようにすれば適用できるのだろうか。それは他の国にも存在するのだろうか。この議論を6つの質問によって概要する。


1. 市民主導の国民投票(le RIC)とは何か。
この国民投票の原理は、ある措置を市民による投票の判断に委ねることである。フランスでは、たとえば政府や代議士たちはある条件のもとで法案を普通選挙(le suffrage universel)に委ねることができる。

2008年の憲法改定では、「選挙人名簿に登録された10名の有権者によって支持された5人の国会議員」の発意によって国民投票を召集しうると付け加えられており、それは450万人以上の人々に相当する。しかし、2015年から施行されているこの「市民主導の国民投票」は、可能性のある法案を支持するためのインターネットサイトが考案されているものの、まだ行われたことがない。

市民主導の国民投票の理念とは、フランスの既存の制度とは違って、一定数の議員の承認を得ることなく、国民から提案を有権者の投票に委ねることを可能とすることである。


2. それによって何が実現されるのか。
市民主導の国民投票の支持者たちはみな、「発言権を国民に取り戻そう」という意志を持っている。その反面で、市民に委ねられるテーマについては、そのタイプに関していくつかの意見の相違がある。その中から、特に以下のものを可能なものとして上げることができるだろう。

・法案を提出すること
・ある法の廃止を要求すること
・選ばれた議員を罷免する、つまりある政治的代表者にその任期中に辞任を要求すること
憲法を改定すること
・条約を承認もしくは否認すること

市民主導の国民投票を適用するさまざまなタイプの問題の領域を制限するかどうかも検討することが可能である。経済的、社会的、環境保護の観点からの改革の対象と理論的になりうるのは、たとえばアイデンティティ共有の国民投票(le référendum d’initiative partagée)のために現在フランスにあるものである。こうした国民投票は、諮問的な性格のもの(国民に発言権を与えるがその尊重を政府に強制しないもの)が望ましいと考える人々や、それに対して国民投票の結果は自動的に採用されなければならないと考える人々の間には、微妙な差異がある。


3. それをどうやって統率するのか。
国民投票の判断に委ねられるべきかどうかというテーマの問題の向こうには、この投票を始めるための手続きが問題となる。
よく知られた方策の中で、合法的には基本方針として市民たちのあらゆる提案を市民たちの判断に委ねられることを実現するよう主張しているものということになる。であれば、ネットで(もしくは他の情報手段で)一定数のオンライン署名を集めるものが、投票の対象となる。閾値の問題が重要性なのは、それが多かれ少なかれ国民投票の組織をアクセスが容易なものとするからである。


4. 「蛍光保安着」の人々は何を提起しているのか。
この数週間で、「蛍光保安着」の内部でRICを要求するといういくつかの表明が出てきた。この提起は、今回の運動の中で(強制的に全員の合意とすることなく)しっかりと流布した、42の措置をあげたリスト内に明確にされている。この雛形においては、市民たちは「独立した監視機構が統率する、理解しやすく効力があるサイト」上で「70万人の署名」を獲得することで「法案の提起をする」ことができる。そこから国民議会は、その提起を「フランス人の総意」である投票に委ねるに先立って、必要とされる署名数を集めてから遅くとも1年以内に、それを議論し、必要部分を補足し、修正しなければならない。


「蛍光保安着」の要求の1つが、RIC(市民主導による国民投票)の実現なのである。


この提起の拡大ヴァージョンは、giletjaunes-coordination.frのサイトに公開されたビラの形で最近注目を集めた。この文書は、12月15日に何十人もの「蛍光色保安着」が動員されて印刷したもので、より拡大されたヴァージョンの市民主導の国民投票を提起しており、これには法案の提出のみならず、議員・大統領を罷免したり、法を廃止したり、憲法を改定する権限も含まれる。国民投票を行うために獲得すべき署名数をどうするのかについては、この文書には記載がない。


5. これは外国にも存在するのか。
異なった形態のRICであれば、いくつかの国に存在している。最もよく言及されるその実例の中でもスイスが挙げられ、そこではこの制度が19世紀から存在している。しばしば一度に複数のテーマに関して、有権者たちに整然と投票が呼びかけられている。市民主導による国民投票を支持する人も厳しく非難する人も投票しているため、この国を投票に最も参加する国としている、国家の慣習法である。イタリアでも、50万人以上の有権者もしくは5ヶ所の地方県議会の要請によって投票が行われると憲法に規定されている。

罷免の国民投票の模範例では、それについてはどちらかといえばヴェネズエラにある制度から着想を得ており、そこではある議員を任期中から罷免することが可能である。罷免の国民投票が行われるためには、一方の観点ではその選挙区に登録された少なくとも20%の有権者が請願書に署名し、ついでその賛成票が直近の選挙でその当選者が獲得した得票数を越えて優位となることが必要である。


6. フランスの政治的責任者たちはこれについて何を考えているか。
2017年の大統領選に立候補した人たちは、これらの形の市民主導の国民投票に好意的なようである。罷免の国民投票を、その発議に必要となる市民数には触れることなく提案しているジャン=リュック・メランションや、ニコラ・デュポン=エニャン、マリーヌ・ルペン(この2人は有権者50万人以上の署名と提案している)、またもしくはフランソワ・アセリノーを挙げることができる。ブノワ・アモンとしては「全有権者の1%が議会に市民の法案の検討を命ずることを可能とする」「憲法第49条3項の市民」を提唱している。

現在では他の複数の政党もまた、この次元のなかに自らの位置付けを行なっている。たとえば共和党議員ジュリアン・オーベールも、12月の初めにまさに「市民主導の国民投票」のための憲法法案を提出しており、一方民主独立連合では、市民の国民投票を、とりわけ国会の強制的な提訴を介することで、電子嘆願書によるテーマにまで拡張することに賛同するといっている。

民主運動の議員イザベル・フロレンは、12月16日にLCIで、自分のグループの議員たちは市民主導の国民投票に対して「いつでも好意的だった」とはっきり述べているが、「統率され」そして「力強い議会を背景として」いることがその条件であって、罷免については「憲法違反」であろうとも言っている。

これに対して、エマニュエル・マクロンは、このような提起は今のところ全く採用していない。これからの数週間もしくは数ヶ月間で彼はこれを採用するのだろうか。国民議会議長リシャール・フェラン(共和国前進)は、15日にBFM-TVで「あらゆることが議論される可能性がある」というところには「市民主導の国民投票」も含まれていると断言していて、彼は複雑な問題に対しては十分に考え抜かれた対応をしなければならず、単純化しすぎた解決法では人々は我慢できない」と考えている。
(Le Monde社 DÉCODEURSサイト 2018年12月16日)