ナルミ事件: 司法は容疑者がチリにいたままでもブザンソンでの訴訟を約束する

ナルミ事件: 司法は容疑者がチリにいたままでもブザンソンでの訴訟を約束する

 

チリから帰国し、ブザンソン検察官エティエンヌ・マントーはナルミ事件の容疑者の事情聴取について語った。行方不明となったこのニツポン人学生の元カレ、ニコラス・セペダは今回の尋問の間ずっと黙秘を通したが、フランス司法は彼の犯罪人引き渡しを要求するであろう。

 

 

4月25日、このブザンソンの共和国検察官によれば、ナルミ事件における唯一の容疑者は、チリで行われた事情聴取の間沈黙を守った。エティエンヌ・マントーは、先週ニコラス・ゼペダの事情聴取のためにチリに出発した検察官と捜査員たちによる代表団のトップであった。この元カレは、2016年12月4日夜から5日未明にかけてクロサキ・ナルミが行方不明となった件の嫌疑を受けている。ニツポン人学生の遺体はまだ見つかっていなかった。

 

容疑者への95項目の質問

ナルミの失踪から2年以上が経過したが、フランスの捜査員たちが集めた数々の証拠に容疑者が直面するのはこれがはじめてである。このブザンソン共和国検察官、予審判事と2名の捜査員は、この会見に同席することは可能だが、これに積極的に参加することはできなかった。フランスの捜査員たちによってこの2年間に用意された95の尋問を行うのは、1人のチリ人女性検察官の役割 だった。

 

彼は自信が揺らぎ動揺したようだったーエティエンヌ・マントー

エティエンヌ・マントーによれば「ほとんど外科手術のように緻密な」質問に対して、ニコラス・ゼペダはずっと黙秘権を行使した。しかし事情聴取の終わりには、「彼は自信を失い、動揺したようだった」と検察官は語った。彼の両親、弟と双子の妹たちも同様に、およそ15の質問項目に対して沈黙を守った。

 

証拠物件と家宅捜査

実はこの件においてフランスの司法は複数の証拠を集めており、「彼の日程に関して、携帯電話とかクレジットカードといった検察側の大量のデータが利用可能です」とエティエンヌ・マントーは具体的に述べる。チリでは情報機器を差し押さえるための容疑者の家宅捜査も行われ、これはわが国で解析されるだろう。

 

今秋に犯罪人引渡し請求

2時間にわたる訊問が終わり、28歳のこの若い男性は、彼に対する国際逮捕状が発行されているにもかかわらず解放され帰宅した。今秋に正式に犯罪人引渡しが請求され、フランスの司法は彼の出廷の有無にかかわらず訴訟を編成するであろう。「そのための検察側のデータは十分です」とエティエンヌ・マントーは断言する。

 

ナルミの家族にとって「悪夢」

この日本人学生の父親の弁護士によれば、この黙秘はナルミの家族の「苦悩にとって堪え難い仕打ち」であると釈られている。ガレー弁護士は、「父親にとっては、その疑問に応えないという悪夢」、「激しい怒り」となっていることを知らせる。

 

ナルミの家族にとって、容疑者が沈黙したことは、行方不明となった娘の遺体を発見できる場所に関する新事実が得られないことを意味している。

(France Blue局サイト 2019年4月25日)