Lindon、父と子

lObs誌の1

UNE ARCHIVEMathieu Lindon 著  P.O.L.出版  240P 19ユーロ

★★★☆ Mathieu Lindonは、彼の父親について書くことを遅らせていたわけではなく、機が熟するのを待っっていたのだ。時はまさに鐘を打ったばかりだ。ジェローム・ランドンの死去から21年、マチウの姉であるイレーヌ・ランドンが進めたガリマール社によるMinuit出版の買収から6ヶ月後に、『En enfance 』の著者はその追加として『archive (アーカイブ)』を出した。これが、情愛深く、自分も受け継ぎたいと思った「知性」にあふれ、何を考えているのか分からない男を描写する彼の手法なのである。その人物は、晴れがましいことをほとんど好まず、彼に分かりやすく愛情を示すこともなかった。他の人々は、研究者アンヌ・シモナンなどはミニュイ出版の功績を偲び、彼が賛同したジャン・エシュノやジャン=フィリップ・トゥサンなどの人々も、誰もがこの出版者の功績を讃える。彼を父親として描くことができたのはマチウのみで、イレーヌは常に秘密主義の裏にカモフラージュされており、そして第三の兄弟でまさに『lEnfant invisible 』(*見えない子供)というタイトルのアニメーション映画の監督である長男アンドレは、父親の頭にインク瓶を投げつけたほどで、最終的には彼との橋渡しはしているものの、父親は孫たちを知ることができずひどく悩んでいた。ジェローム・ランドンを父に持つこと、それはレジスタンス運動から生まれた一つの伝説の重みや服従の義務のもとで成長することであって、この小さな家族の武勇は、アルジェリア戦争が終わるまで、そしてその後も続いていく。秘密軍事組織OASプラスチック爆弾で吹き飛ばされてガラス窓が膨張し、昼夜を問わずに誰だか分からない人物からの電話が、パレスチナ人の側についたこのユダヤ人編集者に侮辱と脅迫をぶちまけるようなアパルトマンで暮らすことなのである。さほど暴力的ではなかったものの、さりとて十分に断固たる闘争、例えばフランスの堂々たる書籍定価制が私たちの文学と書籍業界を守っているのは、彼の恩恵によるものなのだが、聖職者のように振る舞うこの痩せた活動家の人生を際立たせるのはこうした闘争で、その息子はその親密で共感に満ちたポートレートを作っている。愛想がよかったり意地が悪かったり、楽観的かつ疑い深い。彼は作家たち、その筆頭といえばベケットまたの名をサムだが、彼らに対しては時には不実ながら全面的に忠実で、この労働組合運動の闘士で目の肥えた編集者であるジェローム・ランドンは、ヌーヴォー・ロマンが終わってしばらくして、新進の小説家たちを彼のもとで結集することができたが、彼は「impassible」という言葉のもとで彼らをまとめ、これは彼の第二の家族となった。その息子も、父親と同様に重厚さとユーモアを併せ持っている。この本で私たちは、ジャック・ヴェルジェがミニュイ出版に500フラン紙幣がいっぱいに詰まったアタッシュケースを持ちこんだり、キャトリーヌ・ロブ=グリエがSM女王の格好をして「奴隷」を跪かせながら彼女の夫の葬儀に登場したり、デュラスのパートナーだったヤン・アンドレアにつきっきりとなって疲れ果てたマチウ・ランドンが、彼に自殺を勧めたりするのを見るであろう。ジェローム・ランドンは慎ましやかだったので、確かに自分のところからは『Une archive』を出版こそしなかったが、こっそりこれを見ていてとても愛読していた。

(lObs202315日)