並外れた友人たち

l’Obs誌セレクション

『DEUX VIES』(*二つの人生)

Emmanuele Trevi著 イタリア語原著からのNathalie Bauer訳 Phippe Rey出版 160p, 17ユーロ

 

★★★☆ロッコは気難しくはなかった。ロバのような頑固者である。うんざりさせるやつである。Emanuele Treviは1980年代から彼を知っていた。彼らはローマで再会し、トレヴィはすぐにロッコに浮き沈みがあることを知った。裏表があったのだ。今では双極性というのだろうが、しかしエマニュエルには彼の友の病を形容するもっときれいな言葉がある。「薄幸(*l’infélicité)」(イタリア語ならさらによく響く言葉(infelicita))である。「不意に彼は大量の思考に取り憑かれた、聖書にある呪いの言葉のイナゴのように、そして彼はそれから解放されることが全くなかった。」それとは逆に、ピアはきらびやかだった。彼女は翻訳家で、ロシア文学の専門家、そして友人のエマニュエルは感情をこめてこの彼のオネギンのイタリア人版を思い起こす。「ピアの魂は、彼女の人生で最も困難で絶望的な時にも、ヒト、動物、植物を守って気を配るような逃れられない宿命をいつも抱き続けた。」彼女は厳密には美人ではなかった。しかしながら男たちに囲まれながら、結局は降りていった恋人たちを彼女はいつも「ノミ」と呼ぶようになって、もはやそのぎくしゃくとした関係に期待しなかった。彼女の2人の仲間であるロッコやエマニュエルのように、ピアも本を書くことにそのエネルギーの最も大きな部分を捧げた。捧げた?ピア・ペラは突如多発性硬化症となり、最後にトスカーナの美しさを楽しんでおくべくルッカにある実家に引きこもったのち、2016年に死去する。ロッコ・カルボンは、2008年に原付の事故で死亡する。ローマの市街地の路上で2列駐車された車にぶつかったのだ。最後の仲間のトレヴィが残る。そのまま消えいく光であった。起こったことが正反対であことを除けば。トレヴィは並外れた友人たちとの思い出のなかで物語る力を見い出したのだ。「書くことは死者たちを思い出すのにとりわけ適切な手段で、私は親しかった人物に哀惜を抱くすべての人々にこれを練習するよう勧めます。その人について考えるのではなく、その人について文章を書く、急いでその人物を文章に残す、書くことで故人が呼び寄せられる、その人物に捧げる言葉のなかに、突如現れる思いがけない力をいつも見出すのです。」失われた人物を嘆くあなたを、この本は助けてくれるでしょう。この「二つの人生」という作品、これは贅沢にもNathalie Bauerによって翻訳され、2021年Strega賞受賞作であり、その価値に相応しい作品である。

(l’Obs誌 no. 3041  2023年1月19日)