ユネスコが日本政府と中国との歴史に関する対立を再燃させる

中国政府と日本が、歴史の領域でまた対立した。今回はユネスコが原因となった論争である。日本政府は、中国政府が世界記憶遺産に提示した南京大虐殺(1937-1938)の登録を告発しており、国連組織の分担金を減額するとも脅し(menacer)ている。

今回の登録は、14名の歴史家と図書館司書による推薦を受けて10月9日に承認された。それは日中戦争集結後の訴訟の証拠品として重要な役割を果たし、マツイ・イワネやタニ・ヒサオ将軍のような責任者を裁くことを可能にした。

南京大虐殺は、日中戦争の際に、日本の皇軍によって1937年12月13日から1938年1月にかけて遂行された。これをめぐって、日本と中国との間の激しい議論は悪化し続けている。中国政府は、30万人が死亡したと主張しているのだが、日本では、複数の歴史家が総じて2万人から20万人であろうとしている。

もしも日本政府が殺人と略奪について公式に認めるならば、犠牲者数は「確定が難しい」と判断される。首相 アベ・シンゾウの内閣は、「大虐殺(massacre)」という単語を認めようとしない。彼は「南京事件(incident:事変)」という言葉を召喚し(évoquer)、この地域のメディアにこの用語を採用するよう仕向け(pousser)ている。日本の国家主義者は、アベ氏と近い立場にあり、これに賛同する人々は、虐殺が正しいと証明する文書や証拠品の信頼性を失わせるためになんでもする。極右の人々はそこで、宣伝活動を目的とした中国の虚構そのものだと断定する。

「再確認」すべき信憑性
日本はユネスコへの分担金を減額すると脅した。この分担金は2014年には37.2億円規模で、同基金の10.8%に相当した。「ユネスコが一方的に文書を採択するのは不公平である」と10月13日に日本の官房長官スガ・ヨシヒデは表明した。「文書の信憑性について専門家による再確認が行われなければならない」と続け、日本が「提出された資料を確認できなかった」ことは遺憾であるとした。スガ氏は、国連プログラムの「政治利用」を避けるため、ユネスコの透明性を改善するよう制度見直しを呼びかけた。

中国外務省のスポークスマン ホァ・チュンインは、日本の「脅迫(chantage)」を残念に思うとして応じた。「これは、日本政府が誤った歴史観に縛られていることを明らかにしている」とファ氏は続けた。この新たな対立は、中国外交官のトップで、ここ数年来で初めて日本公式訪問を行ったヤン・ジエチ国務長官が、10月13日に東京に到着した際に始まっている。
(Le Monde紙  2015年10月14日)