2023-01-01から1年間の記事一覧

ゴンクール賞受賞はJean-Baptiste Andrea

Jean-Baptiste Andreaに授与されたゴンクール賞 小説家で映画監督、脚本家でもある彼は、すでにFnac小説賞を受賞しているその第4作となる小説『Veiller sur elle 』で選ばれた。 2023年のゴンクール賞はJean-Baptiste Andreaの『Veiller sur elle』(L’Iconoc…

公衆衛生学的リスク

公衆衛生学的(疫学的)リスク 広く使用されている除草剤への曝露に関連した神経障害のリスク上昇を示す研究が発表された 科学出版のスケジュールというのはちょっと面白い。欧州委員会が、グリフォサート(国内名称:グリホサート)の10年間の追加認定の提案を準…

アフリカで相次ぐクーデターに意図せず巻き込まれた中国

アフリカで相次ぐクーデターに意図せず巻き込まれた中国 アフリカ大陸での政治不安は、中国政府によって「新シルクロード」構想の一環として推し進められた投資のリスクを高めた。 中国にとって、アフリカ諸国のクーデターには良い面と悪い面とがある。良い…

戦時下のクルコフ

『JOURNAL D’UNE INVASION』 ANDREÏ KOURKOV著 英語原著からJOHANN BIHR訳 NOIR SUR BLANC出版 260 P, 23ユーロ l’Obs誌セレクション チェチェン共和国の厄介な首長Ramzan Kadyrovが、グロズニー総合病院の落成式で歯科医の勲章を得ていることをご存じだろう…

グロスマン、ウクライナ人

l'Obs誌セレクション 『SOUVENIRS ET CORRESPONDANCE 』(*回想と書簡) VASSILI GROSSMAN著 ロシア語原著からのLUBA JURGENSON訳 CALMANN-LÉVY出版 378 P, 23,90 ユーロ ★★★★ Vassili Grossmanが見たスターリングラードの戦いである。「ここでは、この戦争を…

水と夢想

l’Obs誌セレクション 『LA FURIEUSE』 MICHÈLE LESBRE著 SABINE WESPIESER出版 152 P, 17 ユーロ ★★★☆ Claude Sautet の最後の映画『Nelly et Monsieur Arnaud』(*邦題:とまどい)で、自分が口述した自伝のページをEmmanuelle Béartが入力してくれたモニター…

あるフランス人の青年期

l’Obs誌セレクション 『LA LUMIÈRE, L’ENCRE ET L’USURE DU MOBILIER』 (*明かり、インクといい感じの家具のくたびれ具合 (?)) EMMANUEL VENET著 GALLIMARD出版、160 P, 17 ユーロ ★★★☆ ヨブとツヴァイク、プルーストとランボー、空中浮遊データと自己性、…

銃を憎むオースター

l’Obs誌セレクション 『PAYS DE SANG』 (*血の国家) ポール・オースター著 英語原著からAnne-Laure Tissut 訳 ACTES SUD出版 208 P, 26ユーロ ★★★☆「アメリカ合衆国を西側世界で最も暴力的な国家にしてしまったのは誰なのか」、『ムーンパレス』の作者は、と…

横暴な母親

l’Obs誌セレクション 『L’ÂGE DE DÉTRUIRE』(*破壊の年齢) Pauline Peyrade著 MINUIT出版 160p, 16ユーロ ★★★★ このような暴力を描いているのに、これほどの優美さ。こんな根深い苦悩を描くのにこれほどまでに繊細な表現。Pauline Payradeには4本の戯曲があ…

ソドムとグラスゴー

l’Obs誌セレクション 『MUNGO』 Douglas Stuart著 英語原著からChrles Bonnot訳 GLOBE出版 480p 24 Euros ★★★★2020年にPicador出版から刊行されるまで44の出版社から断られた彼の処女小説『Shuggie Bain』で、彼はセンセーションを巻き起こした。サッチャー…

ジャック医師とファム=トラン女史

l’Obs誌セレクション 『DE RAGE ET DE LUMIÈRE 』(*情熱と光) Jeanne Pham Tran著 Mercure de France出版、216p, 19,5ユーロ ★★★☆ これはJeanne Pham Tranの挑戦である。もしも無口な医師Jack Pregerを語らせることができたなら、その時彼女の母親は回復する…

並外れた友人たち

l’Obs誌セレクション 『DEUX VIES』(*二つの人生) Emmanuele Trevi著 イタリア語原著からのNathalie Bauer訳 Phippe Rey出版 160p, 17ユーロ ★★★☆ロッコは気難しくはなかった。ロバのような頑固者である。うんざりさせるやつである。Emanuele Treviは1980年…

ドネ vs ドーデ

l’Obs誌セレクション CE QUE FAISAIT MA GRAND-MÈRE À MOITIÉ NUE SUR LE BUREAU DU GÉNÉRAL (*うちの祖母が将軍のオフィスで半裸でやったこと) CHRISTOPHE DONNER著 GRASSET出版, 304P, 22ユーロ ★★★★ 『la France goy』(2021)の注目すべきかつおぞましい50…

Lindon、父と子

l’Obs誌の1冊 『UNE ARCHIVE』Mathieu Lindon 著 P.O.L.出版 240P 19ユーロ ★★★☆ Mathieu Lindonは、彼の父親について書くことを遅らせていたわけではなく、機が熟するのを待っっていたのだ。時はまさに鐘を打ったばかりだ。ジェローム・ランドンの死去から2…

アニー・エルノーと人生を変えた本:「『嘔吐』は何かムカムカしそうなものかと思いました」

アニー・エルノーと人生を変えた本:「『嘔吐』は何かムカムカしそうなものかと思いました」 2018年に、『l’Obs誌』はいろいろな人物や読者たちに「人生を変えた」本について語っていただきました。アニー・エルノーが先日ノーベル文学賞を受賞しましたが、当…