ドネ vs ドーデ

l’Obs誌セレクション

CE QUE FAISAIT MA GRAND-MÈRE À MOITIÉ NUE SUR LE BUREAU DU GÉNÉRAL

(*うちの祖母が将軍のオフィスで半裸でやったこと)

CHRISTOPHE DONNER著 GRASSET出版, 304P, 22ユーロ

 

★★★★ 『la France goy』(2021)の注目すべきかつおぞましい500ページではあたかも不十分だったかのように、Christoph Donnerは今そこに厚塗りしたり、色を重ねたりしている。このおぞましきものの一大フレスコ画の第1巻で、『l’Esprit de vengeance』(*報復の精神)の作者は、ベルエポック期で最も恥ずべき人物の一人で『la France juive』(*ユダヤ人のフランス )を精神病質に激しく批判する人物、エドゥアール・ドゥリュモンの肖像を血まみれにした。彼はそこに、反ユダヤ主義の彼の共犯者であり、『風車小屋便り』 の作者のイカれた息子で、とても中傷家で陰謀論者で反ドレヒュス派であるLéon Daudetを加える。風車小屋日記の作者の方は、王政主義の雑誌『l’Action francaise』を主幹し、ゴンクールアカデミーのメンバーであった。この新著でクリストフ・ドネーがこの不快な人物にかなり興味を抱いているとすれば、それは彼の曽祖父のアンリ・ゴセが、距離を置いてはしまったもののしばらくは彼の友人だったからである。それはまた、ある劇的で基地外じみて芝居がかった出来事、この小説家はこの件のおかげで美味しい思いをするのだが、これが権力街道まっしぐらだっレオン・ドーデを止め、彼が「フランス風のファシズム」を無理強いするのを妨げるだろうということでもある。それはこんな次第だ。レオンの14歳の息子フィリップ・ドーデは再び家を出ているが、その後1923年にアナーキスト集団に加入し家に戻らなくなった。彼はさらに自分の父親を殺害するために拳銃を入手した。そこから転向し、引きこもる。彼は、ある女性アナーキスト(彼女もレオン・ドーデの殺害を試みた)を訪問したいと考えたのだが、サンラザール監獄へ行くタクシーの車内で、この青年は銃を自らに向ける。彼の父親は悲しみよりも激しい怒りにとらわれ、自殺説を認めることを拒み、フランス共和国の「政治警察」が息子を殺したのだとして、共和国に反抗する唖然とするような活動に身を投じる。彼は訴訟を起こし、それに負けると、彼の新聞からシャブロル要塞を作り、サンテ監獄に投獄され、王党派キャムロ・デュ・ロワが彼をそこから彼を脱出させると、2年間にわたってベルギーに亡命した。この事件で、ドーデはそのガルガンチュア的な嫌味がたっぷりの体重以外の全てを失った。彼は1942年に死去する。クリストフ・ドネは彼の没落を、その恥ずべき快楽や基地外じみた才能とともに語る。読み始めれば止まらず、果たしてこの書名がどういう意味なのかも最後まで明かされることがないこの掌編小説集の短い章を追っていくと、読者はまるで新聞小説のようなPhilippe Pétainとシャルル・ド=ゴールとの、軍部でのそして論壇上での対立の物語まで見つけ出したり、MichouとBolloréや、Ricœur(リクール)の息子と「Camping」の監督とを交差させるであろう。(*?)ロシアの寡頭政治家でデジタル産業の大物Otto Zornは、クリストフ・ドネのメタヴァースであるCamelot du Moiから、私たちが今読んでいるこの小説の動画ファイルのセットを買ったことを知らされる。彼はそれを暗号資産イーサリアムで支払ったが、この暗号資産の刺激的な効果は、麻薬のようにこの作者に影響を及ぼしている。そしてまたその読者にも。

(l’Obs誌 no. 3040  2023年1月12日)