アフリカで相次ぐクーデターに意図せず巻き込まれた中国

アフリカで相次ぐクーデターに意図せず巻き込まれた中国

 

アフリカ大陸での政治不安は、中国政府によって「新シルクロード」構想の一環として推し進められた投資のリスクを高めた。

 

中国にとって、アフリカ諸国のクーデターには良い面と悪い面とがある。良い面としては、これによって普通選挙制度を基盤とする「西側の」民主主義の限界が明らかとなり、波及的に旧宗主国の役割への批判を可能とする。悪い面としては、これが関係諸国を不安定にし、投資をよりリスクの高いものとしてその経済的利益を損なう。しかしグローバルには、この危機の期間を通じて「中国にある種の影響力を行使する手段があるとしても、積極的な姿勢は取らないだろう」と、当該国の一つに在住するフランスのある外交官は証言する。

彼によれば、「西側が、中国人の役割をロシア人のそれと関連づけるのは間違いです。アフリカにおいては、中国人は彼らが主要な出資者となっているこの大陸の安定性を見込んでおり、そしてロシア人は逆に戦略的、かつ同時に短期的な利潤の理由からこれを不安定にしようとしています」と彼は続ける。「先ほど国連安全保障委員会で、ロシアはマリの軍事政権に対する制裁を延長する決議において拒否権を行使しましたが、一方で中国は棄権しています」と彼は指摘する。

日程的には、ガボンのクーデターは、中国がたまたま北京で6日間にわたる第3回平和と治安のための中国・アフリカフォーラムを開催した最中(828日から92)に起こっている。この会議には、中国サイドによれば「アフリカ連合と約50カ国のアフリカ国家の100名以上の代表者」が集まった。

29日中国国防大臣リ・シャンフは、「相互扶助の伝統はかわっていない」としながらも、同時に中国とアフリカの「協力の強化」を呼びかけた。最近の中国報道機関によれば、大臣はセネガルコモロコンゴ共和国カメルーン、ガーナ、ザンビア南スーダンガンビアモーリタニアウガンダの「国防担当者」を「指名して」会談している。

 

援助協力への同意

ロシアと違って中国はアフリカに傭兵を出さず、地域紛争に巻き込まれたりしないようにしているのは、中国が軍事的、技術的な製品を売っている大半のアフリカ諸国との援助協力におおいに同意しているからだ。その協力の主要路線とは、平和の維持、反テロリズム、海賊行為の撲滅、人道支援と軍事訓練である。いずれもすでに「新シルクロード構想」に組み込まれている領域で、これは2013年にシー・ジンピンが提唱した国際的な投資構想である。

中国外交の最優先課題の一つがアフリカであることには疑いの余地がない。1991年以来、中国の各外務大臣たちが年頭にまず訪問しているのは、一貫してアフリカである。「アフリカにおける新たな中国の覇権は、軍事力ではなくむしろ不均衡な経済関係の拡大、特に外交やイデオロギー、文化面でのかつてないほどの積極的介入と同様に、融資に基盤を置いたインフラプロジェクトに基盤を置いているのだ」と、アジアセンターの研究者 ジャン=ピエール・カベスタンは考えている。

現在ニジェールでは、中国は小規模の製油所を運用しており、そこでは2000キロメートルのパイプラインを建造中で(その費用はおよそ40億ユーロに及ぶ)、これはベニン経由での石油の輸出を可能とするはずで、必然的に中国は7月の終わりに軍部によって行われたクーデターを好意的には見ていない。20234月に、中国はニジェールに「工業産業都市」を建設する意向を発表しており、これは特に農業生産物の加工促進を目的としている。

「中国は不測の事態を歓迎せず、バズム大統領ともかなり近い関係にあったが、今回のクーデターは非難しなかった。中国はまず常に現地の中国人の安全を確保し、その経済活動を回復することを重視する。Cedeao西アフリカ諸国経済共同体が分割されていたことは中国にとっては都合が良かった。そもそも中国はこの機関の本部に3200万ドルを出資し、アフリカ諸国は中国を受け入れた」とカベスタン氏は考えている。

中国は同様にマリでも慎重だった。国連による制裁延長には中国政府は反対しなかったとは言え、中国は別の複数の領域で、特に中国外務省によればいくつかの村に電力供給するために、この軍事政権と協力している。しかし、今や中国の経済成長が減速しているときに、中国政府は必然的に「新シルクロード」にはもうそれほどの金額を投資せず、中国人の安全を危険なものとするつもりはない。

「中国政府がアフリカにおけるプレザンスを強めようとするとしても、治安状況のとりわけ北アフリカにおける急速な悪化は、中国政府に複数のインフラプロジェクトの発展性を再検討しさせ、その努力をより確実な地域に向けることを余儀なくさせるだろう」と、ロンドン キングスカレッジ助教授のアレッサンドロ・アルドゥイノは、オンライン誌シンク・チャイナで予想している。

しかし、「リスクのある」国家のリストは延々と続く。中国は同様にガボンでも、さらに慎重な態度を示すであろう。そこでは中国は、首都リーブル・ヴィルとポール・ジャンティルを結ぶ唯一の道路を建設し、カメルーンとの国境地域にて鉱石を採掘する重要なプロジェクトへの投資を計画している。830日に中国外務省のスポークスマン ワン・ウェンビンは、「即座に治安が正常化するよう、対話によって平和的に紛争を解決し、アリー・ボンゴの人命を保障するよう」さまざまな当事者たちに訴えた。この人物はこの共和国の大統領で、軍部によって監視居住施設に置かれている。

この数年間中国は、このボンゴ大統領をフランスから遠ざけるべく赤絨毯を広げて歓迎していたのだが、中国は、フランス政府のように予期していなかったクーデターに意図せず巻き込まれてしまっている。

(Le Monde紙 202392)