対決ー ドミニク・ド・ヴィルパン(前外相62歳) 対 マニェル・ヴァルス(現首相53歳)

(原文では、紙面を2列に分け、左をヴィルパン、右にヴァルスとして、対応する論点を左右に並列し比較している。)

ヴィルパンー 「敵の思うツボにはまらないこと」
「私たちが戦争状態にあると信じ込ませることは罠です。」西側諸国のイラク介入に対して、国連で歴史的な演説を行ったシラク政権の前外務大臣は、彼の方針を換えていない。オランドとヴァルスが空想したように、武力でダーイシュを打倒することは、彼によれば災禍をひどくするだけである。「私たちは、一部の中東の人々を私たちに対して立ち上がらせてしまうことになるでしょう。」彼は敗北論者なのか。

ヴァルスー 「我々は戦争状態にある」
「我々は戦争状態にある。そして我々が戦争状態にあるのだから、我々は行動し、打ち倒し、勝利しなければならない。」「ダーイシュを消滅させ」ようとしている首相は、TF1にてその喧嘩好きな気質を述べた。そしてその共和主義としての気概についても。
「急進主義となった宗教指導者たちを締め出し」、そして「フランス人の魂であるものを愚弄する人たちから、国籍を剥奪する」ことも必要である。喧嘩好きか?

ヴィルパンー ド・ゴール流平和主義者
アルジェリア戦争を彼らの独立で終結させた、偉大なるシャルル・ド・ゴールド・ゴール主義の系統を引き継いで、ヴィルパンは、アメリカのタカ派と、アフガニスタンリビアを経てイラクに至るその破綻をもたらしただけの国外作戦を危ぶむ。
専制君主による専横やヒューマニストたちが干渉する義務を軽視する今回の現実政策は、まさに右翼のものである。しかしこれは、アンクル・サムや僭主への友情の痛みに対して非常に胡散臭いものを感じるあたりを、ある種の左翼と共有している。

ヴァルスー モレ流主戦主義者
今日の政府の社会主義者たちには、彼らに羞恥を与えるような先人があった。アルジェリア紛争の泥沼化の際の第四共和制首相 ギー・モレであり、彼は第四共和制の破綻を招いた。1956年にアルジェリアのコロンたちから投げられたトマトを悔しがって、彼は警察と軍に例外的な権力を与えてしまった。そして、フランソワ・オランドマニュエル・ヴァルスは、それが彼らの戦略で、アメリカ政府のネオコン、そしてそのアラブの石油王たちとの同盟にうってつけとなるようなものであったとしても、彼らはネオ・モレ主義まがいのものを考案していたのであろうか。

ヴィルパンー バシャールを交えて?
バシャール(アル・アサド)をよく知るこの前外務大臣にとって、シリアの泥沼から抜け出すには外交的手段しかない。フランスは、「政治的合意の条件を作る」ために「仲裁者の役割を取り戻」さなければならない。たとえ「政治的過程の結果としてバシャールが去るようなことになる」としても、最初は「アル・アサド政権と議論すること」が必要である。そしてヴィルパンは、わずか1年前にこれを「かつてないくらい強く」実感したという。

ヴァルスー バシャールなしで?
ファビウスとの対話では、「ダーイシュもバシャールもありえない」ーそしてル・ドリアンとの対話では、「私たちにとっての敵、それはダーイシュであり、バシャール・アル・アサド、それは彼らの国民にとっての敵である」と言っている。最近ではヴァルスは、国防大臣のプラグマティズム(実用主義)に傾いている。彼が本年2月にバシャール・アル・アサドを「boucher (屠殺業者・肉屋)」と称していても、ミッテラン政権時代の閣僚であり、ヴァルスのパーティー客(visiteur de soir)であるユベール・ヴェドリーヌは、「ヒトラーに立ち向かう際には、スターリンと同盟しなければならなかった」と言っている。

判定
前外相と現首相との間の距離に関する議論は、外交事務局秘書の公務員公募の候補者に対する質問のようなものだ。ヴァルスは政治上の短い期間を視野に入れており、ヴィルパンは文明における長い期間を視野に入れている。現在の国際関係の中では、今回の期間は長く続く...
(L'Obs誌 2015年11月19日)