日本経済は第2四半期でエンストした

アベノミツクスにとって、またもや新たな失態となった。8月15日の、日本の第2四半期のGDP成長がゼロ(名目0.2%)であるという報道は、経済再建計画や、金融規制緩和、さらにはより振るわない構造改革を一緒くたにしたアベ・シンゾー政権のこの経済政策の有効性に、改めて疑問を呈した。

このGDP成長率は、ロイター社が意見を求めた経済学者たちによる展望を下回るもので、彼らは名目成長率を0.7%の上昇と見込んでいた。第1四半期では、成長率は0.5%(名目+2%)を達成していた。第2四半期になって、ほぼ停滞してしまった家計消費支出(+0.1%、第1四半期では+0.7%)が、世界第3位の経済国を直撃した。


金融政策はあちこちで限界
世界的に、Brexitがもたらす影響の不透明さと、急浮上した経済の減速とを特徴とした世界的な状況の中で、輸出は1.5%、企業の設備投資は0.4%減少した。イシハラ・ノブテル経済再生大臣は、「先行きに関して、企業の慎重な見方が伸びてる」とその意に添わぬ御様子である。

今回の結果が残念なものであるにもかかわらず、それでも同大臣は「穏やかな回復基調が続いている」との立場をとっている。6月のGDP+2.3%のリバウンドは、彼にとって都合のいい事態となっている。イシハラ氏は、8月2日に発表される28.1兆円の経済対策プランがもたらす影響に期待している。そのプランとは、インフラへの大規模投資と、最もつましく生活する(les plus modestes)2200万人の日本人に、一人あたり15,000円を現金でばら撒くこと(distribution)を意味する。

GDPの停滞に関する報道を受け、財務大臣アソー・タローは、生産性の向上に重点を置く構造改革が必要であると自ら主張した。15日の東京証券取引所では、日経平均株価は0.30%、59.36ポイント安の16,869.56ポイントで終えた。

金融はアベノミツクスのもう一つの構成要素でもあり、それが限界に来てしまっていると思われながら、今回のアソー・タローの反応があった。慎ましやかではあるものの、日銀が7月29日に行った、上場投資信託への投資額を倍増し6兆円とするという決断は、金融市場の歪みを懸念させる結果となった。

日銀は、前場が売り市場で終わった場合に、後場で買い操作を行う。日銀は8月4日にこれを行い、午前中には0.24%低下であった日経指数を1.07%高で終えた。こういう操作は、外国人投資家たちを短期運用で引きつけるかもしれないが、アメリカの年金基金のように長期運用に目を向けた投資家たちは、二の足を踏みかねない。バンクオブアメリカ・メリルリンチの計算によれば、日本の株式を保有している各基金の管理者の割合が、7月にこの3.5年間で最も低い水準となった。

一方では、日銀が1月にとったマイナス金利に向かうという決断に対して、市中銀行はますます不満を抱きつつある。8月13日に発表された金融庁の調査によれば、この措置によって、銀行の今年度の収益は3000億円の減収となるであろう。大銀行は、現在では渋々と日本国債の売買を行っている。国債は、本質的に日銀に買い取られており、日銀は日本国債の34%以上を保有している。


デフレ
さらに、マイナス金利は企業の信用取引を助長させるであろう。しかし、7月の日本の主要銀行の融資残高は、0.7%減少して186兆円となった。これは、この45ヶ月間で初めての縮小である。

日銀は、これまでに下した政策決定の有効性を9月に評価すると公表している。新たな規制緩和策が決定されるかもしれないが、しかし、日銀がその2%のインフレ目標を達成できると未だに信じているアナリストは少ない。6月には物価が0.4%低下しており、これで4ヶ月にわたってぶっ続けである。

これらの動きは、仮に国債を通貨供給に回すとはしても、結局はヘリコプター・マネーに頼らざるを得なくなるのではないかと懸念する結果となった。政府はこれに異論を唱えるものではないが、日銀総裁 クロダ・アルイコは、このような政策は現在の法制度に合わないと、周到に念を押している。
(Le Monde紙 2016年8月15日)