無関心かつ冷淡なニッポンで性的侵害を受けた女性、イトー・シオリの闘い

無関心かつ冷淡なニッポンで性的侵害を受けた女性、イトー・シオリの闘い

このジャーナリストは、強姦を受けてからの自分の闘いについて取り上げた本を書いた。彼女は告訴したにも関わらず、加害者と想定される人物は司法を懸念することはなかった。



ニッポンは #MeToo の時代となるのだろうか。このアッシュタグは、アメリカの女優アリッサ・ミラノが、性的ハラスメントおよび性的侵害の犠牲となった女性たちに、「この問題の規模の大きさを人々に知らしめるよう」促すために考案したものである。かなりの日本人が、ツイッター上でこのアッシュタグを引き継いだが、この運動はまだ限定的なままである。アーベイ・ワインスタインの一件によって、ミラノ氏がこのハッシュタグを考案し、他にもイタリアの女優アシーア・アルゲントのように性的侵害の難しい告発に取り組むこととなったが、これをニッポンのメディアがカモフラージュしてしまったのと全く同様なのである。

それではニッポンにはこういう悲劇がないのかといえば、そんな状況からは程遠い。そして敢えて声を上げる犠牲者があまりに稀なのである。フリーのジャーナリスト、イトー・シオリは声を上げることにした。何よりも「性的侵害を受けた犠牲者に辛くあたるような司法制度と社会制度」を換えるよう呼びかけるために。彼女自身もその犠牲者であって、性的侵害を受けてからの自らの闘いを取り上げた、ブラック・ボックスという書籍(文藝春秋出版、仏訳未)を書くこととした。


「キャリアがダメになりますよ」
10月24日に東京で、彼女は外国人記者クラブで記者会見を行った。2015年4月3日の不運な夜、それはTBS記者の出身でワシントン支局の元支局長、アベ・シンゾ首相とも親しくその伝記も書いているヤマグシ・ノリユキが、アルコールでキメた夕食から彼女が意識を失っているところを、ミヤコシェラトン・ホテルで犯した(abusé)夜を思い起こすことになる機会である。

彼女は告訴を決意したのだが、警察からやんわりと諭されたのは、この手続きをやり遂げることを彼女に断念させようとするものだった。警官たちははっきりと、「こういう事件はよく来るけど、捜査するのが難しい」と彼女に言った。また「あなたのキャリアがダメになるよ」とも。

彼女は辛抱強く訴え続け、ついに操作が始まった。監視カメラの映像、目撃証言、DNAサンプルなどの集められたデータから逮捕状が発行されることとなったが、まさに警官たちがヤマグシ氏を逮捕するその日、一つの命令が下され介入は中止とされた。

週刊誌シューカン・シンショーによれば、この命令は、当時の警視庁刑事部長、現在は警視庁組織犯罪対策部長であるナカムラ・イタルにより出された。スガ・ヨシイデ内閣官房長官の秘書官であったこともあり、アベ氏とも親しい有力な人物である。ナカムラ氏は週刊シンショーで、逮捕を進めないよう指示したことを認めているが、現政権の関与は一切否定した。


犠牲者が告訴するのはたったの4%
イトー・シオリは助けを求めたが、無駄だった。彼女の訴えは9月に却下された。ヤマグシ氏は一貫して、「決して法を破るようなことはしていない」、ナカムラ・イタルとは面識がないと断言している。それ以後彼は、自分の名誉が「この件をネタにすることで複数のメディアによって深く毀損された」として訴訟を検討している。

「強姦(viol)の犠牲者となることで、犠牲者が社会に声を発することがどんなに難しいことなのか分かりました」とシオリ氏は断言するが、その反面で、自分がジャーナリストでなければ諦めていただろうと認める。

公然と声を上げることを彼女が選択したことで、ニッポンにおける性的侵害の処理をめぐる問題が掻き立てられた。性的侵害および小児への暴行に関する操作マニュアルの著者 タナカ・カズコ検察官は、こういうことを告発する行為をニッポンですれば、被害者に焼印を押してしまうことになるため、訴訟を起こす犠牲者たちは4%だけなのだと苦言を呈する。最新のものでは法務省が2012年に出した数値の中で、この5年間に発生した性的侵害で警察に通報されたものは18.5%だけである。逮捕されたとしても、その53.4%の事例で検察はこれらの容疑を棄却している。

3月には、2011年に同僚にクスリを盛られた強姦の犠牲者が法廷で勝訴している。しかし、この女性は民事法廷に告訴せざるを得ず、それは最初の刑事捜査の要請が検察によって打ち切られたためである。


ささやかな勝利
イトー氏はささやかながら勝利を収めた。自らの性的侵害を5月の終わりに最初に公表してから、ツイッター・アカウント「@ouenshiori」が作られることとなって、彼女を標的とする非難が多少は緩和され、刑法の強姦に関する条項を国会会期ギリギリで改訂することを間接的に促すこととなった。これは1907年以来初めてのことである。

この新たな条文は、様々な団体や人物によって支持されており、そこには13歳の時に父親から性的侵害を受けたヤマモト・ジュンも含まれ、この条文では捜査を依頼するにあたって犠牲者自身が告訴することをもはや義務付けていない。第三者でもそれが可能となる。執行される刑事罰は、従来の懲役3年に対して今後は5年間となる。

残念ながら、それでも犠牲者は、あらゆる形の抵抗が難しかったことを示す、威嚇されたり、強制されたり、脅迫されたり、殴られたりした証拠を提出しなければならず、これをイトー氏は遺憾に思う。彼女は「これが問題なのは、スウエーデンで行われた調査によると、強姦の犠牲者の70%近くは擬死状態となってしまうのです」と指摘する。つまり一つの防衛反応で、危機に直面すると身体が硬直してしまうのである。

加えて新たな刑法には、加害者を管理するプログラムは規定されていない。「この問題について私たちがもっと広い認識を持っていたら、また110年間も待たずにこの条文を換えられるのですよ」とイトー氏は考えている。
(Le Monde: Lettre de Tokyo 2017年10月30日)