死亡事故となった土砂災害で、日本の行政が槍玉にあげられている

39名の死者と52名の行方不明者を出した地滑りのあと、新たな地滑りが危惧されたヒロシマ市では、8月22日金曜日も厳戒態勢が敷かれたままであった。状況は日に日に深刻になっている。

23日は夕刻に再び豪雨と雷雨になり、政府は日本の南西にある町の4400人以上の住民に避難勧告を出した。現場に緊急派遣された3000人の消防隊、自衛隊、救急隊員は、行方不明者の捜索の再開を中断しなければならなくなった。現在16万3千人の住民が避難所で生活している。防災担当大臣フルヤ ケイジによって、災害対策本部が開設された。

行政に対する批判がますます強まってきている。地方レベルでは、地滑りのリスクがあった住民に対して、危険な雨量と気象庁からの勧告にも関わらず、8月19日夕方には自治体は適切な警告を行っていない。

広島市長は謝意を表明
最も被害の大きかった安佐北区では、午前3時20分に最初の土砂崩れが起こり2歳と11歳の兄弟をふくむ複数の死者を出した。ところが自治体からの避難命令は、55分後の4時15分まで発令されなかった。8月21日広島市長マツイ カズミは、謝意を表明し、行政上の不手際について調査を行うとした。

安佐北区には1999年にも同様の惨事があったために、この事件はいっそうデリケートなものとなる。当時この災害による死者は32人に及んだ。それ以来、この地域は「地滑り危険区域」とされていた。

この地区では、このような現象を定期的に繰り返しており、それは土壌が花崗岩質で比較的脆弱であるからである。地滑り予防センターによれば、表層が崩壊することによって花崗岩層の脆弱化が引き起こされる。この土壌は、過剰な水分を吸収することで容易に崩壊する。1999年の災害に関する京都大学の研究は、「土砂崩れは、厳密には花崗岩の脆弱化に関連している」と説明していた。

アベ首相の姿勢が物議を呼んでいる
8月22日に国土交通相は、安佐北、安佐南及び被災地域に土砂崩れ検出システムを設立すると述べた。このシステムは、ワイヤーで繋がれたセンサー網によって機能する。土壌が動いてワイヤーが切れれば、警報装置が作動する。

国家のレベルでは、バカンスで東京近郊の山梨県に滞在していたアベ氏は、災害事故が起こっていることを知っていたが、ゴルフのラウンドを始めていた。日本のメディアによれば、8月20日に東京に戻り、広島市からの緊急要請に対して現地に展開する自衛隊員を増強するなどの対応を講じる前に、総理は一時間以上にわたりゴルフを楽しんでいる。

物議を醸すゴルフゲーム
「アベ首相はゴルフを中止すべきだった」と野党第1党の民主党幹事長オオハタ アキヒロは嘆く。「こういう行為がこの政府の不誠実さを分かりやすく表してる。」

アベ氏は、財務大臣モテギ トシミツとゴルフをしており、そこには2000年から2001年の前首相モリ ヨシローもいた。日本の新聞報道を思い起こせば、モリ氏はゴルフプレーで物議をかもして辞任を余儀なくされている。日本の高校生13人を乗せたトロール漁船エヒメ丸が、ハワイ沖で米潜水艦と衝突し沈没したと聞いていながら、彼はゴルフを中止することを拒んでいた。
(Le Monde紙 2014年8月23日)