オキナワ県知事選でアベが敗北を喫した

オキナワ県知事選でアベが敗北を喫した


アベ・シンゾ首相にとっては屈辱だ。日本の最南端の諸島の知事ポストへのタマキ・デニーの驚くべき当選は、このように認識されている。タマキ氏は58歳、アメリカ軍人と日本人女性との子供で、野党を結集したオール・オキナワ連立からの支援を受け、55%以上の得票数でそのポストを獲得した。アベ政権が支持する候補者サキマ・アツシは、44%の票を得ただけだった。タマキ氏は、8月8日に癌にて亡くなったオナガ・タケシの、県庁所在地ナアから遠くないギノワンに現在あるフテンマ米軍基地機能の沖縄本島北部のエノコへの移転に対する闘いを継続するというその約束を継承している。

オナガ氏と同様にタマキ氏も、フテンマのオキナワ県外移転を望んでいる。しかるに2006年の日本政府とアメリカ政府の合意が生み出したこの移転プロジェクトは、アベ政権が最重要課題としているものの一部で、何よりも彼は、とりわけ中国の覇権の興隆に対するニツポンの国防の柱である日米の安全保障同盟が堅実であり、良好に運用されているとアメリカに示したい。タマキ・デニーの勝利の報道に対して、アベ氏は「わたしたちは、この投票結果を真摯に受け止める」とした。政権としては、前ギノワン市長で、エノコ基地移転に賛同するサキマ氏の勝利が優勢と考えていた。彼はこれに多大な手段を講じて、元総理大臣コイズミ・ジュニシロの息子である人気者コイズミ・シンジロのような与党の花形を現地に派遣した。

自民党は「出来ることはすべてやった」と、上智大学政治学者ナカノ・コイシはニューヨークタイムズで判断している。その敗北は自民党を驚かせ、これは「自民党にとっての惨事である」。この惨事は国家レヴェルで重要な影響を及ぼしかねず、9月9日に自民党総裁に再選されたにもかかわらず支持率が50%を超えないアベ氏に、その戦略の修正を余儀なくさせた。オキナワにおける彼の失敗は、2019年7月の参議院選挙を前にして彼の一味を動揺させかねない。

それまでの彼の政府は毅然として、全ての面談を拒否し、ヘノコの建設現場の反対派に機動隊を動員し、県に給付される年間およそ3000億円の補助金を削減していた。法的な分野で攻撃することも彼はためらわない。オキナワ県は8月に、エノコ基地の建設に必要となる埋め立て工事の許可を取り消している。政府はこの決定を取り消させるよう最高裁訴訟で応酬することもありうる。

「民意の尊重」を呼びかけた知事の今回の当選を受け、ニツポン政府の官房長官スガ・ヨシイデは、政府としては今でも移転をしっかり推し進めることが目的であると反論した。ただしオノデラ・イツノリ防衛大臣は、この作業の目的はまさに「オキナワの基地負担を幾分か軽減する」ことであるとしていた。アベ氏も基地以外の「オキナワの経済発展」に言及していた。

実際にタマキ氏の当選は、エノコへの移転を拒絶することを単純に超えている。オキナワ県民は、ニツポンに配備されたアメリカの防衛力の80%を、その騒音と治安上の被害の負担とともに引き受けている。彼らは民主主義がないがしろにされているとも訴えている。彼らが公然とエノコのプロジェクトに異を唱えるのは、2014年のオナガ氏の当選以来、これで2度目となる。

この感情は、オキナワの他の問題、特に経済問題を度外視しており、ニツポンと中国および東南アジアとの交易の中間地点をいつでも回復できる地域の、さらに大きな自治権にとってより有利となる位置付けを生み出した。その勝利の後にタマキ氏は、「小さなアリたちでも象の足をどけることができるのです」と呼びかけた。
(2018年10月2日 Le Monde紙)