日本政府は、12基の原子炉を停止したい、そして... それ以外は再稼働させたい

より良い状態で再稼働するためには廃炉。これが停止中の原子炉を再稼働するための日本政府の次のテクニックである。経済産業相は、9月の終わりまでに、自然災害でのリスクが高く、また新たな安全基準に適合させるコストも高いとされている1980年以前に稼働した原子炉を、解体するように求めるかもしれない。日本政府が所有する48機の原子炉のうち、12機がこれに関連する。

9月5日に、新たな経産相 オブチ ユウコは、安倍内閣は、電力会社が「原子炉の円滑な廃炉」を実現して行くことをいつでも援助すると述べた。そのために、政府は内部損失を制限するための措置を行うかもしれない。関係する自治体にも、原発の存在に配慮して高額な補助金を賠償せざるを得ないかもしれない。

偶然の一致か、同じ日に関西電力は、福井県美浜原発の二つの原子炉を廃炉にするだろうとほのめかした。この設備は、1970年および1972年から稼働している。九州電力も、1975年に稼働した玄海原発でも原子炉を一基、廃炉にするという。

ところで、廃炉・解体には多額なコストが必要である。もしも関電が2基の原子炉を廃炉とするならば、本年から300億円(2億1800万ユーロ)の莫大な損失が見込まれるはずだ。

エネルギー料金の値上げ
2011年3月のフクシマ原子力災害に基づいて、2013年7月に制定された原子力規制基準では、原子炉を40年以上使用することを禁止している。例外は可能で、基準をみたすべく高額な作業を行い、原子力規制委員会の承認を得ることが条件となる。実際には、解体の方がコストがかからないらしい。

危険性の高い原子炉については解体を主張する一方で、政府は原発の再開が妥当だという見解についても説得して行きたい。この方針は、いまだに毛嫌いされている。原発の再稼働に関しては、アベ シンゾウ首相が2012年12月に政権復帰して以来の優先事項の一つである。4月には、原子力への依存性は下げる必要があるものの、原子力は依然として将来の日本のエネルギー政策の構成要素の一つであるとしている。

原子炉の再稼働を強く希望するのは企業である。原発が停止したが、これは火力発電所によって代償された。天然ガス化石燃料の輸入量が跳ね上がり、電気料金は個人で20%、企業で30%上昇した。東芝や日立、三菱重工などの製造会社は、フランス・アレバ社とも提携しているが、原子力分野を企業活動の重要な一部分としていた。

インド首相 ナレンドラ・モディが9月初めに日本を訪問した際に、アベ氏はインドへの原子力技術の輸出を促進するにあたって、日印原子力協定を呼びかけた。日本政府は、同様にカザフスタンベトナムにも原子力技術を売り込もうとしている。これを説得していくには、稼働している核燃料貯蔵地が必要となる。
(Le Monde紙 2014年9月6日)