アベノミクスの効果が疑問視されている

アベノミクスは失敗だったのか?日本が第三四半期で-0.4%の景気後退となり、アベノミクスへの疑念が増大している。アベノミクスは、日本の首相アベ・シンゾウが2012年12月の選挙後に提唱した大規模な経済振興政策である。その目的は、15年来日本がもがいてきたデフレの苦境から脱却すること。「それまでに採用されていた対策は、慎重すぎるもので、効果は少なかった」と「将来展望・国際情報研究センター」の日本の専門家エヴリン・ドゥリル-フェーは追想する。

実際に、一見するとアベノミクスは機能しそうな規格である。「それはとても大胆な三本の矢からなるものです」とキャピタル・エコノミクス社のマーク・ウイリアムズは言う。第一の矢は、10兆3000億円からなる予算再興策で、2013年初めに実施された。第二の矢は構造改革の漠然としたもの(?)で、労働市場と生産性の活性化を目指したもの。第三の矢は通貨政策で、日銀による年間70兆円規模の政府買い付けからなる。これは10月31日に、年間80億円に増額されている。

この措置は、2013年に成果を上げ始めた。インフレは少し持ち直した。消費者物価指数は1998年から2012年にかけて4.5%後退していたが、2013年4月から2014年3月に0.8%回復し、4月の消費税5%から8%への増率をおいても、ついで4月から8月で1.3%回復した。(*要データ確認)「日銀の目標2%は下回ったとしても、希望が持てるものだった」とウイリアムズ氏はいう。

しかしそれ以外は、 表示器の文字はいずれも赤色だった。投資は相変わらず活気を見せない、実質賃金もかわらない。実質賃金の増額がなければ、個人消費も経済成長も動き始めない。結果的に、景気後退の停滞は、アベ氏にとって深刻に裏目に出たものとして響いた。

臆病すぎる改革
かれのマジックポーションはなぜ効かなかったのか。経済学者たちは3つの問題点をあげる。まず、6月に発表された経済成長を起こすための構造改革案は、臆病すぎると思われる。政府はいくつかの特区を作り、女性の労働を発展させるよう刺激すべく、周到に準備した。しかしそれは移民労働者への国家の開放という、減少する労働人口(年間-0.5%)を代償する唯一の方策には至らなかった。「高齢化した人口構成である程度迅速に経済を再成長にもっていくには、これが確実でしょう」と将来展望・国際情報研究センターの経済学者ウルスラ・セゼルボビッツは説明する。

さらに、アベ氏は企業が歓迎する税制改革との交換として給与の増額を要求したのだが、これは定額給与よりもボーナス支給額を増大させた。個人消費を増大させるものではなかった。

そして最後に、日銀の海外拡張論者の方針に基づく円安政策は、政府が期待したほどには輸出を活性化させなかった。その理由は、海外の需要は停滞しているのだ。そして特に、日本製品のような高級なものは、為替の変動の影響を受けにくいのだ。

その代わりに、円安は輸入一次資源の価格を高騰させ、エネルギー消費と光熱費の負担となった。最終的に、マイナス効果がプラス効果を超えた。「アベノミクスは、円の下落と連動して、日本にとって破滅的な動きを産み出し、これが経済成長を損ないます」とナティクシスの主席経済学者パトリック・アルトゥスはここまで断言する。
(Le Monde Économie紙 2014年11月18日)