インタヴュー マーク・サジュマン「彼らは狂っても、精神病者でもなく、彼らはイデオロギー化されているのです」

テロリスト心理学の専門家であるかつてのCIA職員が、13日のパリ襲撃の特殊性を解明する。彼によれば、ジハディスト、それは自らをある想像上の共同体を守る戦士とみなしているのだが、これに対抗する闘いの鍵は、改悛しシリアから戻ってきた人たちの情報機関による活用にある。

元CIA職員であるアメリカ人、マーク・サジュマンは、テロリスト社会学・心理学の専門家である。フランスで生まれ、歴史上特にフランスにおける政治的暴力行為についても研究している。彼は、パリでの事件に最高度の周到さを感じた。「私の経験から、操作の始めに得られた情報は、後からみれば結局あてにならないことを知っています。1-2年後には、歴史は私たちが考えていたものとは全く異なることを理解するのです。」彼の中にはたくさんの仮説がある。海外にて組織的に計画された行動なのか、それとも外国からの影響を受けたフランス人によって計画されたものなのか。今回の作戦は、この2つを混合したものでもありうると、マーク・サジュマンは主張する。

2015年1月の襲撃と比較して、どのような相違点があると見ていますか?

これらの襲撃は、その規模でとても異なっています。メラー事件のタイプの、単一人物による作戦行動であれば私は驚きません。今回私を驚かせたもの、それは連携した人物の数と、彼らが警察からマークされていなかったようなあたりなのです。シャルリーとリュペルキャシェの時には、犯行集団は3名と、加えてその兄弟が2名でした。ここで関与する人物が多いほど、作戦行動を秘密裏に置くことが難しくなります。情報が漏洩するリスクが高くなり、そこには常に喋ってしまう人物がいるのです。今回のパリの襲撃に対しては、2つのシナリオを想定できます。テロリストたちは気付かれる前に素早く編成された(彼らにはすでにパリの土地勘があり、大まかに領域を分担していた)か、もしくはフランスでは知られていない海外から来た人物たちであったかです。2008年のボンベイの襲撃は、10名のパキスタン人によって遂行され、海からボンベイに侵入し1ヶ月間にわたる訓練を受けていました。

フランスでは初めてのカミカゼ攻撃がありましたが...

それはあまり確実ではありません。シャルリーとリュペルキャシェの事件は、自殺攻撃でした。クアチとクリバリの兄弟には、自分たちは死ぬであろうと分かっていました。彼らにとっては、単に作戦上の新たな戦術を使用することを意味してただけだと確信しています。そしてさらに、フランスの歴史にもすでにカミカゼはありました。1789年に、サンリスの時計職人リウル-ミシェル・ビヨンが、死者25名、負傷者41名を出しています。金銭問題で国民軍から離れ、ある軍事パレードの日に自宅から同僚たちに向かって発砲しました。皆は時計職人が火薬を仕込んだ建物の中に逃げ込み、彼は中にいる部隊を一度に吹き飛ばしたのです。また先の(?: 1912年?)、ボノ一団よる自殺攻撃としての襲撃も考慮に入れなければなりません。

なぜフランスが標的とされたのでしょう?

ヨーロッパの他国に比較して、フランスにはシリアに旅行した海外居留者がずっとたくさんいるのです。つまり、数の問題なのだと思われます。その上に、1995年以来、フランスのジハディズムは著しく成長しました。この時期に、アルジェリア武装集団GIAによるパリ襲撃が引き起こされましたが、それはリヨンの不良たちを統制していました。今日では、若いテロリストたちは指示を受けていません。メラー事件では、シャルリーの場合と同様に、外からの誘導ではなく内部から衝動が来るのです。彼らはフランスで組織に加盟し、フランス国内で急進化するのです。このため闘争の戦略も内的であり、外的ではありません(?:自発的?国内外?)。なぜこれらの若者たちがこのようなイデオロギーに加盟するのかを理解し、その行動において彼らを止めようと試みることが重要です。

それはどのようにすればいいのでしょうか?

若いジハディストたちは、自分たちをシリアの犠牲者たちと重ね合わせています。彼らは、アル・アサドと闘っているだけではなく、フランスとも闘っているのです。彼らは戦争状態にあり、彼らの国家、空想上の共同体であるウンマ(Oumma イスラム共同体: イスラム教徒の総体を意味する)を守っているのです。シリアで行われているように、これが攻撃される場合には、彼らから見ればいかなる代償を払ってでもそれを守られなければなりません。これらの個人は心理学的には全く問題がなく、彼らは狂っているのではありません。彼らは精神異常者ではなく、イデオロギー化されているのです。彼らは自分たちが戦士であるかのように感じており、彼らの母国のために殺しているのです。彼らは、この国際的な聖戦主義集団に所属していることを誇りであると思っています。彼らをシリアに対する幻想から引き出すことができる唯一のものは、シリアから戻ってきた元ジハディストたちです。彼らが信頼しうるこれが唯一のものです。もしフランスの情報機関が対テロリスト闘争にこれらの改悛者を利用する傾向があるのなら、政治家たちは、自らこのリスクを取ろうとは思いません。このため、改悛者たちが罪を問われ投獄される、これは状況を悪化させるのです。

フランスは戦争状態にあるのでしょうか?

そうでもあり、違うとも言えます。戦争状態にあるとは、全てを投入すること、そのために完全に犠牲にされる産業や、徴兵される何百万もの人たちを巻き込みます。戦争というのは第二次世界大戦のようなものです。しかしながら今回の襲撃は、フランス史上で未曾有の、最も多くの人が死んだテロ攻撃ではあることは確かですが。
(リベラシオン紙 2015年11月15日)