日本の首相、SNSでお叱りを受ける

もしもフランスの指導者たちでもバゲットや地下鉄のチケットの値段あたりがあやしかったりするなら、日本の首相 アベ・シンゾウが日本人の収入で苦境にも立ったとしてもわかる。1月9日の衆議院予算委員会で、彼は野党から、自分が政権復帰した2012年以後、実質賃金すなわちインフレを是正した収入額が減少していることに対して質問を受けた。

答弁にかえて、彼は「経済の立て直しと即時利用可能な雇用数の増加」を語り始め、こんな感じの文脈で「多くの人たちがパートタイム雇用に従事するようになり」、平均収入を低下させたものについて説明を始めた。

彼の意図を説明すれば、首相は架空のある家族「アベ家」を持ち出し、そこの亭主は正規雇用で働いて月に50万円の報酬を得る。彼の妻はパートで働き、25万円の収入を稼ぐ。「この事例では、 2人で働くことから2で割ると平均の収入は下がっていく。」


「彼は完全にかけ離れている」
この説明は説得力に欠けるもので、つまりとりわけて提出された数字が現実とは全くかけ離れていたからだ。厚生労働省によれば、5人以上の従業員がいる企業において、1人のパートタイム職員の1ヶ月あたりの平均給与額は96,638円である。そして正規雇用職員の1ヶ月あたりの平均給与額は352,094円なのである。

SNSは即座に反応した。「パートで月25万とか無理でしょ。」と @van_jin はツイッターで考える。「週6シフト休憩なし残業ありでも15万だぞ…しかもそこから社保引かれるでしょ」

一方で @suminotiger は計算する。「時給1000円でも250時間… 1日8時間働いても1ヵ月32日働く必要があるわけですね…」

「そもそも、主婦が「パート」で25万円も稼いだら、配偶者控除の適用外になるのではないか。こういうたとえ話ひとつとっても、庶民感覚とはかけ離れている。」もう一方で、カゴシマ・ヨシマサが自らのアカウント @kgssazen でこのように指摘したあと、「なに不自由なく育った世襲政治家にそんなことを求めるのも無理な相談かもしれない」と付け加える。実際に、アベの父方の祖父 アベ・カンは山口県選出の代議士であり、母方の祖父 キシ・ノブスケは1950年代終わりの首相、父親は外務大臣であった。

非正規労働者報酬は、日本人労働者の約37.2%に関係するものであるため、反応はなおさら生々しい。そして貧困が進んでいる。日本はOECDで貧困国の第6位であり、貧困境界値、すなわち収入の中央値の半分を下回る国民の割合が、2013年には16%、これはフランスでは8.1%であった。日本のRSA(積極的連帯所得保障制度)に相当する生活保護の受給者数は、増加し続けている。2013年に159万世帯であった受給者数は、2015年10月には約163万世帯である。
(Le Monde紙 2016年1月11日)