まもなく日本からアメリカに向けて送り出される331kgのプルトニウム

イギリス船籍の核輸送船2隻が、厳重な警備のもと3月21日に東京の東北にある港(那珂湊)に到着した。その日時は機密とされているが、Pacific-Egret丸とPacific-Heron丸は、その重要な積荷であるプルトニウムアメリカへ向けて搭載した。

2014年に核不拡散政策の枠内で結ばれた二国間協定によってアメリカに返還されるのは、331kgのプルトニウムである。アメリカ政府は、プルトニウムは合衆国内にあった方がより安全だろうと考えている。テレビ放映網では、高毒性の放射性物質の保管所に隣接している東海村の港に到着した、この艦船の映像が放映された。


「日本の原子力政策の失敗」
「これは日本に1992年に1.8トンのプルトニウムを搬入して以来、最大量の積荷となるでしょう」とグリーンピースは指摘する。これらの保管されたプルトニウムは、数十年前に研究目的としてアメリカ、フランス、イギリスによって搬入されたものである。

グリーンピースと複数のNGOが、3月18日にこの搬送について暴露した。彼らはその公表コメントで、これは「日本政府の原子力政策の失敗」であるとして、彼らによればこれは管理できない危険な生成物を産みだしていくものだとしている。

「50年以上も前から、日本の原子力政策は、核燃料としてプルトニウムを生産・利用することに基礎を置いていた。このプログラムおよびMOX燃料としてのプルトニウム使用計画の失敗により、日本は核兵器を持たないすべての国家の中でも最大量の、軍事目的に利用可能なプルトニウム保有高を最終的に溜め込むことになった。」

日本は、高線量放射性廃棄物が生成することに対して、未だに解決策を得ていない。この国には47トンのプルトニウム所有量があり、うち10トン近くは国内に、それ以外は現在海外にあって、その一部はフランスにもある。

フランスの原子力企業系列 アレヴァ社とのパートナーシップにより90年代初めに建設された、青森県六ヶ所村再処理工場は、いまだに稼働していない。何だかんだと延期になり、11月にはまたもや、その稼働は2018年になると伝えられた。


行程は機密とされている
今回輸送される331 kgのものは、軍事利用可能な品質である。積荷の危険性に配慮し、輸送船団の取る経路は機密とされている。しかしながらいくつかの反核NGOは、それが南カリフォルニアの核施設にたどり着くには2ヶ月は必要ではないかと説明している。

これらのNGOによれば、アメリカと日本の政府は、核分裂物質の脅威を減らすとした自分たちの誓約を実証するものとして、今回の輸送を提示しており、3月31日と4月1日にワシントンで行われる第4回核安全保障サミットにおいて、作業活動の成功を発表したいのである。

しかし、「数百キログラムのプルトニウムの積荷を移動することを原子力安全保障の勝利だと賞賛することは、依然として日本に保管されている9トン以上を全く無視しており、これは核の不拡散および安全保障政策の観点からは失敗であるばかりでなく、危険な錯覚である」とグリーンピースに賛同する専門家 シャウン・バーニーは強調する。
(Le Monde紙 2016年3月21日)