日本国債をめぐる緊張

これが反乱の始まりになるのだろうか。日本の主要な銀行機関であるメガバンク 東京三菱UFJ銀行は、今週、金融庁において、日本国債の購入市場からの撤退を公式に告げることになるであろう。

金利は次第にマイナス金利となっており、国債証券の専門家として、自分たちの勧誘を保証することがだんだん難しくなってきているのです」と、6月10日に三菱東京UFGの社長オヤマダ・タカシは説明している。

東京三菱UFJ銀行は、政府債券の直接取引の取り扱いを信任された施設である、22の 「国債証券の専門家」グループ(*国債市場参加者)に加入している。このシステムは、2004年に金融大臣によって施行され、国債市場の安定化をもたらすこととなっていた。この枠組みの中で、加盟機関は金融省と展望を交換することが可能で、そこではそれぞれが、競売ごとにある分量の国債を購入する義務がある。

インフレ率2%の達成という目的に集中した日銀は、1月29日にマイナス金利に向かって進むことを選択した。日銀は、ニッポン企業に多量の流動性資産の備蓄を投資に回すよう促すことも望んでいる。金融庁は、2015年末でこれが3540兆円にのぼり、1年間で26兆円増えていると見積もっている。

政府はまたここで、マイナス金利を経験した国家で行われたように、個人が不動産の購入に手を出してくれないものかとも期待している。デンマークでは、コペンハーゲンがまさに「バブル」を経験している。


利益の減少
しかるに、これらの目論みが達成されたことを示すものは何もない。日本人は、文学的な表現で箪笥預金とされるものに頼りがちで、それはつまり自宅内に現金を保管することである。マイナス金利が採用されて以来、金の購入と同様に物理的な金庫の売り上げも伸びている。それも、たとえ銀行が今のところはマイナス金利を個人貯蓄に転嫁することは認めていないのにである。

同時に、銀行はマイナス金利の財政的な影響を懸念している。ミツビシUFJグループの会長 イラノ・ノブユキは、当初からこの政策には批判な人物の一人であった。彼にとって、この措置は自らの銀行の収益性を損ねるものである。貸付金と預金に対する利率の差額、銀行手数料と派生物の販売から引き出される収益の差額によって生み出される利潤を考慮すると、「今回のショックは、この会計年度の間に1000億円になるはずです」と彼は予想している。

実際に、地方銀行も含めた全ての銀行は、この会計年度における利益の縮小を記録することになる。ミズオ銀行会長 サトー・ヤスイロは、「今後の3年間に利益の増加」はないのではないかと危惧する。

自らの資産の収益率を改善するために、大銀行は特に信用融資を証券サービスに換えている。この証券サービスは、地方銀行と投資家に販売されている。ミツイ・スミトモ銀行は、4月にこの分野に身を投じている(?)。

しかし、これまでは、国債購入プログラムから撤退するおそれのあるものはなかった。

SMBCフレンド証券の経済専門家イワシタ・マリは、日刊紙ジャパン・タイムズで、「これはショックですよ。市場で最も重要な役を担う役者が、現在の日銀の政策の妥当性に疑問を呈したのです」と考える。

別のメガバンク、スミトモ・ミツイ銀行とミズオは、たとえ国債における投資をがっつり減らしてはいるとしても、今のところ何も決断しているようではない。


重要な結果

「私たちは財務省や日銀に反抗したいわけではないのです」と、あるメガバンクの代表者が、6月8日に日刊経済誌ニオン・ケイザイに断言している。「しかし、問題はいつまで私たちが現状に耐えなければならなくなるのかということです。最終的には、国債市場参加者から私たちが撤収することもあり得ます。」

国債発行額がGNPの240%にもおよぶような国にとっての重大な結果であれば、そのような決断は金利の上昇(?: une hausse de taux)として現れるようなものだ。しかしながら、そのような可能性はまずあり得ず、日銀総裁クロダ・アルイコは、中央銀行による国債の購入には限度がないと考えている。日銀は、今日ではこの証券の最大の購入者である。

より一般的に言えば、ミツビシUFJが信頼関係における問題を表明しているため、その意図が政府を憂慮させているのである。

国債を適切に管理する政策のためならば、私たちはなんでもしますよ」と政府官房長官スガ・ヨシイデは言った。「国債が安定してさばけることを保証するために、私たちは市場の展開を追っていきます。」

1991年に制定された、民間金融機関の独立性を保証する金融自由化法制のために、当局の選択は依然として限られている。金融省では、「ある金融機関が国債市場参加者をやめたいと考えるならば、我々にはそれを受け入れる以外に選択肢がありません」と認めている。

第1四半期に、GNPが昨年と比較して1.9%上昇していながらも経済は困難に直面しているのに、新たな通貨緩和政策を日銀が企てたところから、議論は起こっている。クロダ総裁は最近、「(日銀は)金融機関の利益のための通貨政策は進めない」と民間銀行に言い渡している。
(Le Monde紙 2016年6月13日)