ポール・オースター: 「トランプはベルルスコーニとムッソリーニの交雑種

アメリカ人作家 ポール・オースターは憂鬱である。カナダの日刊紙 La Presseでの対談で、自分はバラク・オバマ大統領の方が「ずっと良かったと思う」のであろうと打ち明けている。「民主党から大統領が出たとしても、この右派は自分の国を壊しつつある」とポール・オースターは断言する。「あれは、自らのビジネスのためだけに闘うような個人の利益に有利となるよう、自治体社会という概念を消滅させつつある。とても悲しいことだ。」と、この仏語を話す親仏家の作家は続ける。

しかしこの作家は、民主党の本命であるヒラリー・クリントンのライバルとなる「(バーニー・)サンダースに投票するつもりはない」。「バーニー・サンダースはかなり好きなのだが、彼にはかなり失望している。彼の発言はただの中傷である。彼は人々の不安・苦しみ、それは当然なものなのだが、それについて説明しているだけであり、しかしそれは対立陣営でドナルド・トランプもやっていることだ」と彼は説明する。共和党で支持者の多いドナルド・トランプについてはどうかといえば、彼は「ベルルスコーニムッソリーニの交雑種みたいなものだ。危険だしぞっとする。」とポール・オースターは考える。「彼が共和党側の候補になるなら、それは共和党にとって破滅であり、根本から改革しなければならないことになる。」


ベストなのはオバマ
ポール・オースターにとって、バラク・オバマは、彼の知る大統領のなかで「明らかにベスト」である。そして作家は、この第44代合衆国大統領を絶賛する。「大統領は人類のなかで最も傑出している」。就任当初からの「絶え間ない中傷」や右翼の「差別主義者」に対して、威厳を保つことが出来た「名誉と勇気の人物」である。

主要な影響を受けた人物として、アメリカ人の作家ヘンリー・デヴィッド・ソローをあげながら、ポール・オースターはしかしながら作家を「引退するつもりは決してない」としている。彼は3週間前に、その19作目となる小説、1000ページに近い年代記で2017年の始めにアメリカで出版された作品(*「4321」)を終えたばかりなのだが、引き続いて「次の作品におそらく手を出すだろう」とのことだった。
(Le Pointサイト 2016年5日4日)