政党Horizonによって、エドゥワール・フィリップは「新たな政治的提案」をした

政党Horizonによって、エドゥワール・フィリップは「新たな政治的提案」をした


このル・アーブル市長は10月9日に、今日の世界の「目眩(vertigo)」に対する主軸路線として、「治安」を探し求め、フランスの「主権」を伴った右翼のプロジェクト、「マクロンと併用できる(Macron-compatible)」を提示した。


エドゥアール・フィリプは知っている、政治には「時には良き右翼を置かなければならないという考えを受け入れ」なければならない。この前首相がまだ首相府にいた当時、ローラン・シビアンのドキュメンタリー『エドゥアール、私の右翼の友人』で行われた告白は、10月9日土曜日にル・アーブルで実行された。それはエドゥアール・フィリップが、自らの政党「オリゾン(Horizon)」を立ち上げて衝撃を起こした11時30分少し過ぎであった。「前を見る」ことを主張する新たな政治的提案であるが、これは右翼の論理である「マクロンと併用できる」に組み込まれている。「市中」と同様に国庫決算でも求められる「秩序」を追求する右翼である。

ノルマンディーのこの都市の河岸にあるCarré des Docks劇場の満員のホールで、ロックスターのように歓声をもって迎えられたエドゥアール・フィリップは、2時間近くにわたってフランスに関する自らの考えを羅列した。彼の目的は、「衰退した」と彼が考えている公開討論の欠落を埋めることである。しかしこのパフォーマンスがいまだに政府や現国家元首への批判となりうると考えている人々には、このル・アーブル市長は、「自分の目的は2022年(の大統領選の際に)エマニュエル・マクロンが当選することであるとはっきりと言っている」と断言している。

「忠義深いが自由」

しかしながら、「忠義深いが自由でもある」ことを自認するこの人物は、2022年のエマニュエル・マクロンの勝利を過信しがちな「金融市場の住民たち」には警告をすることを忘れない。選挙の勝利は事前には確定できず、とりわけフランス国家に対する「不安のレベルや怒りのレベルによっては」獲得されない、と彼は強調する。「大統領は、当選するよりも再選される方がずっと難しい。これは選挙基盤の拡大を経るであろう、縮少ではなく」とル・アーブル市長は主張する。

共和国前進(LRM、大統領政党)とその連立政党MoDemの同一の屋根の下でマクロンに賛成する全ての運動をまとめうる母屋に関しては、エドゥアール・フィリップは巧みに避ける。「私には、それがまとめるものがまだ分からない。ある1つの旗印によって大統領の再選が可能となるなら、私たちはその後ろにつくであろう。しかしそれが、すでにそこにいる人たちとそこに加わる資格がある人たちとの間に食い違いを生み出す何かであってはならない」とも触れる。言い方を換えるなら、エドゥアール・フィリップは自分の固有の有権者を引き寄せて個別の政治的提案を展開するつもりであるが、なるほどLRMとMoDemのパートナーではありつつ、マクロン後の展望には自分1人を投影させるつもりである。「それは、私たちの国家が遠くを見てその力を安定させるために政党を作ることです」、彼は2050年のフランスを展望するフリをして、2027年のフランスに宛てて説明している。

最前列では、LRMの議会での総裁クリストフ・カスタネルが顔を顰める。熱に浮かされたような金融市場の住民たちには、次の国会でしっかりと存在感を示し、そこから2027年の大統領府に狙いを定めるエドゥアール・フィリップをすでにイメージしている人々がいる。その当事者は、10月10日のJournal du dimanche紙のインタヴューで、国会議員選挙で頭角を顕そうという意図を否定した。「私は2022年の大統領選の立候補者ではない」と断言し、「政党であれば、大統領選の候補者擁立について考えなければならない(…)そしてその時が来たならば、立候補者を出さなければならない」としっかり強調した。

その「長期にわたる民主的な闘い」を推し進めるために、この首相官邸の間借り人だった人物は自らの考えを前面に打ち出す。全く自由に。そのために、これはまず第一に、現代の巨大な不安の現状を考慮に入れ、次のように診断する。つまり、指数関数的に増加するアフリカの人口がもたらす人口学的な目眩(vertigo)、気候変動の目眩、世界の中心となった中国による地政学的な目眩、そして最後にAIの進歩がもたらしたテクノロジーの目眩。「個人もしくは集団で島流しにあったようなこの格下げ感が、どうしてあるのか。市民たちはこの4つの目眩をとてもしっかりと見ています、たとえこのようにはっきりとは捉えられてはいないとしても」とアラン・ジュペの弟子だった人物は考える。

「Lignes claires」

これらの不安に応えるべく、フィリップ流の戦略は、彼の友人であるEU議員ジル・ボワイエとの共著のタイトルから取った「lignes claires」とした。それはまず第一に、フランスが主権を取り戻すために国庫行政を立て直すことを意味する、と彼は言う。もう一度繰り返すが、年金の改革を進め、9月30日のChallenges誌ですでに示唆したように、就労年齢からの引退を65、66、さらには67歳に後退させる差し迫った必要性を擁護する機会である。

現政権の擁護、原子力の擁護、経済的自由主義、移民流入の統制… この政治的提案はヌーベル右翼のものと見紛うばかりだろう

「それを今行わなければならないのか。間違いなくその必要はない。それは社会の問題であり、それには国民からの信託が必要である。統制しても割に合わないとは思えないこの問題を、明確にしていないのはとんでもないことです」と彼は指摘する。安全保障問題については、首相官邸にいたこの人物は、この問題の原因は司法による手段がないという手遅れな状況にある、と考える人々の一人である。最終的に彼は、環境問題から原子力問題のテーマを語ることとなり、彼の目には原子力問題は、私たちの経済に脱炭素化を組み合わせることを可能とすることで、その解決法の一部となっている。

「wokisme」とキャンセル・カルチャーの傾向に関しても揶揄しながら、その合間には現政権の擁護、原子力の擁護、経済的自由主義、移民流入の統制… この政治的提案は、ヌーベル右翼のものと見紛うばかりだろう。Les Republicains (共和党)という新たな政党は、「ゼムリアン(ゼムール主義の)」の誘惑、すなわち2022年の大統領選への立候補を公表したときより以前から世論調査を震撼させた極右の評論家の名前から自由になる。

そして、その名は挙げずにエドゥワール・フィリップは、ゼムールの見解を攻撃することを忘れない。「フランスは政治的な国家であって、フランスのアイデンテティは自己を過去の中に見つめなければならないなどと考えている人々は、我々の国家が根本的に政治的であるという性格を理解していない」と、彼は拍手喝采が鳴り響く中ではっきりと語った。「スキーでは、斜面の上では前に進まなければならない。もしもあなたが後ろを見れば、顔を怪我する。フランス的であるためには視野を広げなければならない」と再び彼は強調した。

「やっと指導者ができた」

「ゼムールが共和党の分裂を明るみに出し、彼の評価は上がり、共和党は分裂した。今変わりつつあることは、保守中道からの提案があるということである」、セーヌ・エ・マルヌ県のフォンテーヌブローの町長であるフレデリック・ヴァレトーは惚れ込む。「そう、私たちは右翼の一員です。それは重要ではなく、それは問題でもない。私たちは皆みなしごで、宿なしでした。やっと私たちにリーダーが現れた」と、ヴズールの町長で、共和党出身、2017年からAgir運動の支持者であるアラン・クレティエンは語りまくる。

この新しい政党の幹部たちは引っ込んではいない。タイミングは良い。共和党は内部分裂の中で身動きが取れなくされ、ゼムール派と、それ以外の大統領選での敗北を危惧する人々との間で引き裂かれたようである。政党オリゾンは後者を回収できそうである。「もう共和党はさほど共和主義的ではない」とセーヌ・マリティーム県選出の議員アーニェ・フィルマン=ル・ボドは考えている。彼女は、15歳の時に共和国連合(共和党の前身)に加入し2017年に離党したこの政党をもはや認めていないと語る。

すでにオリゾンは、10月9日に最初の獲物であるランス市長アーノー・ロビネを披露することができた。この前日に彼は、エドゥワール・フィリップに合流するために共和党を辞めたいと発表している。しかしこの新党の幹部たちは、共和党が大統領選の公式立候補者を指名する12月4日の大会の際に、さらにたっぷりと収穫することを思いついた。前予算大臣であるヴァレリー・ペクレスが失敗した場合に、彼とそのグループが参加することを楽しみに切望している人たちもいる。「これはゆっくり煮詰めていく運動になるでしょう。しかし、私たちには12月5日に渡せる電話をかける一覧リストがないのです」とジル・ボワイエは否定する。

すでに10月9日にはル・アーヴルには成功の香りが漂っていた。そして、誰も見逃さなかったが、この舞台から退場するにあたってエドゥワール・フィリップは、彼に先立ってはジャック・シラクが自分の政党である共和国連合を作ったときの前のように、勝利(victoire)の「V」サインをした。

(Le Mondeサイト2021年10月9日)