棄権: 落選した大統領候補に投票した人々の落胆が大きい

調査機関IFOPのジェローム・フルケは、国民議会の第2次決選投票における投票率の盛り返しには期待していない。


6月11日日曜日、第1次予備投票において51.29%となった棄権率は、第五共和制の歴史のなかで、国民議会選挙における新記録を樹立した。それは、2012年にはわずかに42.78%であった。日曜日でありながら、投票率が50%を超えたのは59県のみであった。内地では、投票率が最高だった(59.2%)のはロゼール県、有権者の出足が最も鈍かった(39.3%)のはセーヌ・サン・ドゥニ県である。

政治的イベントが延々と続いたために、有権者がうんざりしたのだろうか。政治に対する無関心が強まったのだろうか。ほっといてもLa République en marcheが勝つんだろう、という認識だったのだろうか。

ジェローム・フルケによれば、その全てが一辺に起こったのであって、2016年11月の共和党一次投票に始まった、長期にわたる一連の政治的イベントによって、フランス人の息が上がっていたことに加えて、彼は、若者や非正規雇用労働者たちを主体とした「すべての社会階層が関係している」と指摘する。彼はフランス世論調査研究所(IFOP)の世論担当責任者であり、投票へのこの戦意喪失を「大統領選で負けた人々、とりわけマリーヌ・ル・ペンの支持者たちの失望」によるものと説明する。彼女は、2回にわたる大統領投票期間における討論において、ずっと誹謗中傷を受け続けてしまったという痛い実績を負い続ける。

また彼は、今年の投票が強い「dégagisme (* dégager :引っ張り出して自由にする、取り払う)」の気運によって特徴づけられている、という特殊性についても強調する。この世論調査の専門家は、「棄権した有権者の一部は"マクロンに統治するチャンスをやるのだ"と考えている」と指摘する。エマヌエル・マクロンの組織は、実際に圧勝に向かっており、推定では6月18日の第2次決戦投票によって、連立政党であるMouvement Démocrateとともに、577議席中400から455議席を獲得しうる。


「多くの人々が、自分の候補者を失った孤児である」
Harris interactive研究所のジャン=ダニエル・レヴィは、「人々は、フランス国民サイドでは一般的な、多数派が共和国大統領を出すだろう、という印象を抱いています」とも言う。「この意味では、彼らは無理に投票しようとはせず、しかし邪魔もしようとしない。」「フランス人がすっかり共和国大統領のファンであるわけでもない。だからといって、何らかの重要なブームを引き起こすような勢力もない。」と彼は言う。

ジェローム・フルケは、棄権率が新記録となったもう一つの理由をあげる。それは選挙日程の逆転である。2002年に大統領任期5年制が施行されて以来、「選挙戦の要石」は大統領選だと思わせたまま、それに国民議会選挙が引き続く。これが、1ヶ月の期間で投票率がぐったり落ち込みかねないことを説明しうるものである(今回の棄権者は、4月23日の時点の大統領選一次投票における登録有権者に対して、その22.3%にもなっている。)

フルケ氏によれば、投票率の盛り上がりは第2次決戦投票までもたないだろう。「三者戦はまずないので、あぶれた有権者たちは、自分たちの候補者を失った孤児であって、投票には行かないことを選択するだろう」と主張する。
(2017年6月12日 LeMonde社サイト)