日本では、若者たちがイミフとか思いながらも投票に行く

「お仕事終わりに投票にいってきたよ ^^✌🏻️はじめての自分の選挙権でなんかどきどきした!笑」日本の若手女優Pecoが、7月4日にこんなツイートをしている。18歳の彼女は、7月10日の参議院選挙に期日前投票で行くことを選択し、これでこの年齢で投票することになった最初の日本人の一員となった。投票権は、2015年に20歳から18歳に引き下げられており、これで240万人の若者、すなわち有権者の2%が、今回の参議院242議席の半分の議席改選に対して意思表示をすることが可能となった。

政府当局は、この若い世代に投票を促したい。各地の高校で、投票箱と仕切りパーティションの模擬選挙が企画された。政党は、彼らの票を惹きつけるべく特別な活動もした。なかには不器用で、ある女子高生がクラスメート男子に政治と経済を語って驚かせ、その気をひくためにも投票に行くことにした、というオハナシを描いたマンガを出版した、保守派の首相アベ・シンゾーの自民党のように。この内容は、若者と女性からはあまり有り難がられなかった。野党第一党民主党では、Pecoのような世代を牽引する若手タレントに協力を要請した。

それにもかかわらず、若者がどの程度投票するのかは、なかなか分からない。18歳で三陸鉄道に就職したマエカワ・ココロさんは、「1票から出発進行」と中道左派紙のマイニチ新聞で語る。東京の出身のある学生の有権者は、「投票には行きますよ。しかし誰も選びません、説得力のある政党はありませんから」と断言する。「なんで投票に行くのかな?何も変わらないでしょ」と別の学生は悩んでいる。

キョードー通信の調査によれば、18から19歳のうちの45%だけが投票に行くつもりだと考えており、投票に行こうというのが60歳以上の層で最も多い一方で、これは年齢層では最も低い割合である。


国内消費は5月に1.1%下落した
権利を要求するのは悪くはないだろう。もしも高齢者たちが年金や社会保障がどうなるか心配なら、若者たちも自分たちの未来について煩悶する。「政治に期待することは、雇用や賃金など、若い人が働きやすい環境づくり」とマエカワさんは語る。若い世代は、非正規雇用の最も切実な犠牲者であり、これは日本の労働者の38%に相当している。

アベ氏は選挙キャンペーン中に、「アベノミックス」に次の弾みをつけなければならないと力説した。これは彼の経済措置であり、かつてないほど散々に行き詰まっているように思われる。再びインフレを推進するための超迎合的な通貨政策や、重要な景気支援策にも関わらず、5月に個人消費は1.1%、消費者物価は0.4%下落している。円高は、現在の政策の二本の柱となっている輸出と観光収入を脅かしている。

選挙キャンペーンの論争は、同様にアベ氏の重要課題である憲法の改正にも向けられた。もしも彼が今回改選される121議席中の86議席を獲得するならば、首相の陣営は参議院における2/3議席を掌握することになるだろう。すでに衆議院では同様の議席数が揃っているため、彼は憲法改定の過程に着手することができそうだ。これは、彼の祖父であり、1950年代の終わりに政権にあったキシ・ノブスケがすでに着手していたことである。


野党統一候補
逆説的に、世論調査はこの計画に対する疑念を示している。保守派のヨミウリ新聞による調査では、有権者の45%が「アベノミックス」を信用していない。

しかし、自民党は常に37%の支持率を得ている。これに対して、野党の第一勢力である民主党は10.4%で、その確率を上げるために野党統一候補を推薦することにしたものの、支持を得ていない。「民主党政権下の3年間を通じて遭遇したドタバタが、人々の記憶に残ってるんです」と共産党参院議員 コイケ・アキラは残念に思っている。「この期間は、2008年にリーマン・ショック、2011年3月には震災があったんですが、忘れているんです。」

それゆえにアベ氏の陣営の勝利が待望されているのだ。有権者にとってこの首相は、その言動をほとんど批判しないメディアに支えられて、ある種の安定感を醸し出している。有権者は他の選択肢を見出せず、これが棄権を助長しているものである。アベ氏の支持率が最も高かった2013年の参議院選挙のときには、有権者の約48%が投票所に行かなかった。それゆえ彼が勝利したのだ。
(Le Mondeサイト 2016年7月8日)