アベ・シンゾーは日本国憲法改定への意を強めた

この一夜はアベ・シンゾーにとってほとんど完璧となった。7月10日の日本の参議院242議席の半数の改選にあたって、得票数の集計表示では首相の陣営ががっつりと勝利を獲得している、のだがシマジリ・アイコ沖縄担当相が沖縄で落選しているのはいただけなかったようだ。

アベ氏の自民党と、その連立政権のパートナーである公明党は、これまでに135議席の状況から、今や146議席を掌握している。政権に近い集団を含めれば、全体では161議席に達する。

数名のアベ氏に賛同する無所属議員をも加えるなら、それは162議席を超え、これはアベ氏が期待をかける憲法改定を検討するにあたって必要とされる比率、すなわち2/3となる。国家の基本法を修正するには、衆・参両院の2/3議席の承認を受けた後に、国民投票の実施を経なければならない。すでにアベ氏の陣営は、衆議院にてこの議席数を握っている。

しかしながら11日に日本の首相は、憲法の修正は難しいだろうと強調している。「憲法改定を実現していくことは、自民党総裁としての自分の責務である」と報道陣の前で首相は語った。「しかし、そう簡単なことではなく、議論が深まっていくことを期待したい」と彼は述べた。


野党は「隠された目的」を告発する
彼らの標的の一つである、日本が戦争を断念すると明示する憲法9条は、日本人が平和主義に愛着を示しているために最優先課題であるとは思われない。しかし、緊急事態条項の憲法への導入が検討されている。憲法においてこれを強調することが、中国や韓国には脅威となっており、いずれも日本の再軍備を強く懸念している。その経済政策である「アベノミツクス」に次の弾みをつける、と強調してきた今回のアベ氏の選挙キャンペーンの印象とも、これは矛盾している。

今回の選挙にあたって連合していた対立陣営は、憲法に関するアベ氏のこの「隠された目的」を、機会あるごとに告発していた。アベノミックスとその残念な成果に代わるような信頼しうる対案を提示することができず、反対派は、自民党とその連立政党に対して好意的な動向を覆すことができなかった。

世論は「現状維持」もしくは棄権を選んだのだ、と政策研究大学院大学のイイオ・ジュンは解説する。投票権が20歳から18歳に引き下げられ、登録された有権者は240万人増えたが、投票率は53.66%を超えず、前回の投票の2013年よりかろうじて1ポイント増えている。
(Le Monde紙 2016年 7月11日)