ニツポンでの参院選がアベの憲法改定プロジェクトを危うくしている

ニツポンでの参院選がアベの憲法改定プロジェクトを危うくしている

 

大勝したにもかかわらず、首相は参議院での3分の2の議席を取りそこねてる

 

 

ニツポンの連立政権は、7月21日の参院選参議院で手堅く過半数を獲得した。しかし、ニツポンの首相のこの勝利は、彼の憲法改定プロジェクトを保証するには不十分であろう。アベ・シンゾは、この平和憲法を改定するために不可欠な2/3の議席数を獲得していない。この平和憲法は1947年に発効されて以来修正を一切受けていない。

 

7月21日の選挙では、ニツポンの参議院の245議席中124議席が、多数代表制と比例代表制の投票で改選されることとなっていた。自由民主党(自民党、アベ氏の陣営)とその連立パートナー、コメイ党は71名の議員を獲得した。今後この連立が押さえるのは144議席となるのだが、今回の選挙の前には151議席だった。首相はわずかな後退と過小評価しており、「私たちは過半数を獲得し、有権者は政治的な安定を選択したのだ。」

 

今回の選挙運動では、メディアは報道の規模を縮小し、論戦はわずかな聴衆の興味を引いただけで、盛り上がりに欠けたまま投票は展開した。投票率は48.8%に止まり戦後2番目の低さである。「選挙があったことを知ってすらいなかったので、多くの人々が投票していない」と上智大学の政治科学教授ナカノ・コイシは遺憾に思っている。

 

選挙戦の間、アベ氏は公共財政の安定化やアメリカ大統領ドナルド・トランプとの親密さを強調していた。ニツポンと合衆国は二国間での自由貿易協定を取り決めなければならないというのに。

 

年金加入者に、退職後にそこそこの収入を確保するには社会保険料に加えて少なくとも2000万円(16万5千ユーロ)を貯蓄するようにと呼びかける政府答申が6月に漏洩しており、それ以来問題となっていた年金の将来にも討論は向けられた。消費税を8%から10%とする評判の悪い10月1日の増税や、今年の始めから目立つ経済の停滞も問題とされた。

 

権利をあまり主張しない傾向にある国で、小さいながらも大きな意味を持ついくつかの騒動が、選挙運動に彩りを添えた。7月15日と20日に行われたこの政府のトップの街頭演説では、「アベ、辞めろ」と叫ぶ首相に歯向かう人々に警察が介入した。

 

反対派の批判に対して、アベ氏は安定の重要さを強調する。彼にとって、「今回の選択は、安定した政府か混沌かなのである」。野党が統一した見解を発し、語ることの難しさが、またもやアベ政権を脅かす機会を彼らから奪った。しかしながら、多様性に賭けるという選択が参議院で広がり、そこで野党は85議席から100議席となった。

 

野党第一党立憲民主党は、女性を42.5%含んだ候補者リストを提出したが、これは自民党では14.6%以下である。同党は改選前に比較して7議席を増やした。政治家になった反原発俳優、ヤマモト・タロが起こしたまったく新規の政党 レイワ・シンセングミは2名の議員を得た。フナゴ・ヤスヒコはシャルコー病を患った候補者で、キムラ・エイコは脳性運動障がいをもっている。

 

こういった成功が、連立政権の2/3議席、185議員、複数の世論調査が投票前に予測した「超過半数」の獲得を妨げた。今日では、憲法改定の同志の陣営に所属する参議院は160名である。戦後の平和主義の価値観には常に愛着を抱いているものの、特に中国との緊張の高まりを危惧しているニツポン人を分断するこのプロジェクトに、アベ氏は議員を結集することを希望している。特に彼は国家軍隊の存在を憲法に記載したがっている。

 

大きな危機がなければ、アベ氏は内閣改造を準備し、自民党総裁の任期が終わる2021年9月の自民党総裁の任期終了まで首相を続投すると断言している。彼は11月の半ばに、1901年から1913年までに3回首相となったカツラ・タロ(1848-1913)以来、最も長く奉職する政府のトップとなる。

(Le Monde紙 2019年7月23日)