ニツポンは商業捕鯨を再開しようとしている

ニツポンは商業捕鯨を再開しようとしている

ニツポン政府は、捕鯨には長い伝統があるとして、もうすぐ国際捕鯨委員会(IWC)から脱退すると発表した。


ニツポンが商業捕鯨を再開しようとしている。この政府決定は12月20日に政権与党自民党の代議士たちに伝えられた。それは1月1日までに公式発表となるに違いない。IWCは6月30日まで有効のため、そこからのニツポンの脱退に引き続いて捕鯨操業が再開されるであろう。前防衛大臣オノデラ・イツノリは、公共放送局であるんHKに、「私は政府のこの決定を支持します」と断言している。現在自民党の顧問である彼は、IWCを「表明される視点が極端に偏向している」「もはや機能していない」組織だとみなしているとして、これを罵倒していた。

グリンピース・ニツポネ支部の執行部長サム・アネスレイは、今回の決断を「世界全体からずれた重大な過ち」であるとし、ニツポン政府に戻ってくるよう呼びかけた。他国に対してはいつでも国際法を遵守するよう求めがちなニツポンが、国際機関から脱退するのはとても稀なことである。その決断は、ますます広がるIWCとの溝の現れである。この機構の最後の会議が9月に行われており、そこでニツポンは新たに商業捕鯨を再開する権利を要求しているものの、無駄だった。

この操業は1986年から執行猶予の対象となっている。ニツポンには、科学的な調査との口実で捕鯨に従事する特例が認められていた。この業務が調査捕鯨として1988年に再開されて以来、ニツポンの漁師たちは何千ものクジラを、単純な研究目的とするにはおかしいと判断される水準で獲ったため、それは繰り返し批判されていた。

批判している人々は、ニツポンの捕鯨漁師たちが南極海を選択することも遺憾に思っている。南極海は、オーストラリアなどの複数の国々からは聖域だとみなされている。


学校給食のメニュー
ニツポンはこの件で、2014年に国際司法裁判所で有罪とされている。ニュージーランドの支援を受けたオーストラリアが、商業活動を研究プログラムと粉飾して「海棲哺乳類と海洋環境の保全」に違反しているとしてニツポンを非難しており、国連の法廷はこれを正当と認めたのだ。商業捕鯨の再開が確定されるならば、それはニツポン近海の水域に限定されなければならない。

ニツポンはこの業務を継続していく意図を正当化すべく、長い伝統を引き合いに出す。捕鯨が執行猶予となるまでは、ニツポン人は一人あたり年間2,3 kgのクジラを消費していた。鯨肉は、戦後の動物性タンパク質の不足を補うために、学校給食で出されていた。現在では、ニツポン人が食べるのは年間数十グラムに過ぎない。多くの人たちが全くこれを食べていなかった。

捕鯨はニツポンの国家主義にも触れるテーマである。これを熱烈に擁護している人々は、国際的な批判を日本に対する西側の策略だととらえているのだが、この業務に対してはノルウェーアイスランドも批判を受けていることは顧みない。

このテーマは、非常に国家主義的な首相アベ・シンゾの案件なのである。彼はヤマグシ県の選挙区からの選出で、そこにはニツポンの主要捕鯨漁港であるシモノセキがある。2012年の政権復帰以来、彼はこの捕鯨への支持を何度か表明している。ある政府高官は、捕鯨の再開を発表した後で、「この業務を生業としている漁師がいるのに、単純に私たちがこれを断念することはできない」とキョド通信に対して断言している。

一方でニツポン国内では、クジラ類の生存数を脅かすリスクには異論があることや、捕鯨事業のコストについてはスルーすることによってこの議論が捻じ曲げられた。2017年になるまで政府は、毎年これに約50億円に及ぶ基金を支給していた。

2011年3月11日に起きた地震・ツナミ・原子力災害の被災地復興基金が、2011年から2012年の捕鯨キャンペーンに出資されていたことが2012年に暴露されているが、その際にこの問題がスキャンダルとなっている。水産庁は、被害を受けたミヤギ県の港町イシノマキの歴史、そのかつての捕鯨の伝統を引き合いに出している。イシノマキは23億円の復興予算を得ていたが、それはイシノマキの直接の利益になることは一切なく、捕鯨船団に護衛艦を送る資金に流用されていた。
(Le Monde紙 2018年12月25-26日)