依怙贔屓事件によって揺らぐニッポン政府

依怙贔屓事件によって揺らぐニッポン政府


ニッポンの財務大臣アソ・タロが、財務省における2018年3月12日の記者会見で質問に答える。
首相とその財務大臣は、懸案となった用地売却に関する調査における新事実の報道のあと、不利な形勢となっている。



経済成長が巻き返し、選挙戦でも勝利して、しばらくは平穏な四半期が続いていたのだが、ニッポンの首相 アベ・シンゾは、国家のトップにある彼の統治において最も難しい場面を体験している。対外的には、ドナルド・トランプがニッポン政府に相談もせずに北朝鮮に対するその戦略を一変させたり、またニッポンの鋼鉄に重税を課したりした「裏切り」によってうろたえ、国内では、ある依怙贔屓事件(favorisme)において巻き返しを受けて、首相はいきなり不安定となった。

3月12日夜、東京の中心にある首相官邸周辺に、デモの参加者たちが、彼の辞任を要求するプラカードを振りかざしながら押し寄せた。抗議者たちは、財務省のトップ アソ・タロの辞職も訴えた。財務省の公務員たちが、かなりの物議をかもした公用地の売却にアベ・シンゾとその嫁アキエが連座している文書を、自分たちは改竄しました(falcifié)と認めたばかりであった。


国家主義の施設との関係
この事件は、2016年6月に、政府が大坂に保有する土地を超保守主義的な施設 モリトモ・ガクエンに投げ売り価格(bradé)で売却したことに始まる。当時この協会は、国家主義的な価値観を教育する私立小学校を建設するための用地を探しており、アベ・アキエにその名誉校長になることを提案していた。この施設は、たったの1億3400万円でこの土地を獲得したのだが、当時のその評価額はこの7倍であった。

1年前にこの驚くべき値引きが判明したため、モリトモ・ガクエンはそのプロジェクトを断念せざるを得ず、アベ夫妻は慌ててこの操作との一切の関連を否定する。しかし、彼らの防御は打ち砕かれる。この保守主義施設の前校長は、違法な補助金を受けた疑いで逮捕された。そして9日には、国税庁長官 サガワ・ノブイサが大騒動のさなか辞任した。昨年、この懸案の取り引きを調査している国会議員たちにこの公文書を手渡す前に、これの改竄(falcifié)を行った財務省の部局を指揮していた人物は、彼である。このため彼の部局では、入念にアベ夫妻の名前を消去している。

この案件に悲劇的な一面が加わり、財務省の地方部局でこの土地の売却を主に管理した幹部の一人が最近自殺したことを、メディアが明らかにした。


妨げられた政治日程
12日夜、アベ・シンゾは自分は過ちを犯していないと繰り返した。彼はアソ・タロに電話で、これらの文書の改竄についてとことん究明し、その責任を明らかにせよと伝えた。しかし、彼の大臣は譲らなかった。77歳にして、この政治家はその保守政党に強い影響力を持ち続けており、首相が関与しているスキャンダルの隠蔽のために、自分を犠牲にすることを拒否するだろう。

それでも時間の問題で彼が失脚することになれば、倒れる巻き添えとしておそらく彼は、アベ・シンゾに必ず致命傷を与える。2012年の末から現職にあるこの指導者は、9月に行われる選挙で勝利して自らのグループのトップとして3期目の任期を獲得し、それによってさらに3年間政権にとどまることを夢見ていた。しかし最近の暴露情報は、その計画を真っ向から阻みかねない。
(Les Échos紙 2018年3月13日)