モリトモ事件で危うくなったアベ・シンゾ

モリトモ事件で危うくなったアベ・シンゾ

アベ・シンゾの妻と関係した小学校を建設するための公用地の売却が取り沙汰され、これに関連した依怙贔屓事件がニッポンの首相を直接脅かしている。


アベ・シンゾは、その約束どおりに辞任するのではなく、3月12日に弁解をした。AFPジャポンによれば、ある議員は「これらの文書はあなたが断言するように単純に「書き換えられた」(corrigés)のではない。それは改竄された(falcifiés)のです」と吐き捨てている。衆議院委員会における野党による訊問で、財務省、文部省と警察の高級官僚が、アベ・シンゾとテレビカメラから1mの場所で、指をくねらせ前言を撤回し続けながら答えようとしている。しかし、野党は彼らを容赦しない。いっぱいの人で熱くなった議場では、この一年間にわたってニッポンの気を揉ませている「モリトモ事件」、これは大坂の小学校の名前を付けられた不正事件であるが、これにおいて野党は優位にある。

この施設を経営している血色の良い夫婦、カゴイケ夫妻は、彼らの大事な茶髪たちを戦前の日本の教育方針に拠って躾けようとして(?: modeler ses chères tétés brunes)、アベ・シンゾ首相という国家主義者と日程を調整した。彼は、首相の嫁 アベ・アキエと財務省からの恩恵を獲得し、のちに財務省は、この学校の敷地を評価額の1/10の価格で彼に譲渡してしまった。ニッポンの報道機関が、このおかしな値引きに勘づく前に。

この依怙贔屓(favoritisme)の告発に対して、政府は野党に公文書を提示し、常につっけんどんに(farouchement)闘ってきた。「私や妻が関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員も辞めることははっきり申し上げておきたい」、昨年の国会でアベ・シンゾはこのように強調して約束している。しかし日刊紙アサイが、省庁の作成した該当文書が偽造(maquiller)されていたことを数週間前に暴露し、批判が首相陣営の中にまで噴出した。

事件は2月9日に悲劇的なものとなり、この土地転がし(vente du terrain)に関与した地方財務局の公務員が、おそらくこのスキャンダルのために首を吊った。

「アベ・シンゾに関連した自殺はこれで2例目で、前回は2007年の農林水産大臣マツオカ・トシカツです。これは悲惨な状況です。この2つの悲劇は、彼の歴史的な評価を汚しました」と政治学者マイケル・ジュジェは予想する。

この報道によって、この土地の売却を担当した高級官僚が辞職することとなり、財務省からは、14の文書において、主に首相、彼の妻、および彼を支持している超国家主義ロビィ団体ニッポン・カイギの名前を抹消することで、310箇所が改竄された(altérés)との供述がなされた。

そして、それはおそらく始まりに過ぎなかった。それとはわかりにくいほど単色ではなく、その派閥間の闘いは残忍でありながら表面上は穏やかな日本の官僚制は、人を巻き添えにするこれらの文書を論説紙に漏洩しており、ますます浸水してきた泥舟に似ている。「予告しますが、アサイにはまだ他の文書があります。彼らは決着をつけていなかったのです」と、3月12日にある国会委員会のメンバーは、言行不一致に陥って身動きが取れなり、ベトベトに油漬けになった(confit)高級官僚たちに警告した。ニッポンの左派の基準となっている日刊紙 アサイは、国家の名誉を貶めたとして過去にアベ・シンゾに非難されており、じつくりとその復讐をしている。しかし、勝利をまだつかんではいない。

今のところ、最前線にいるこの首相も、その嫁も、財務大臣も、メディアの断頭台に首を載せる覚悟はないようだ。アベ・シンゾはその約束どおりに辞任することなく、いろいろと弁解している。その嫁は、モリトモ事件に関連した公務員が自殺したという報道の数時間後に、別の晩に撮った自分自身の満面の笑みの画像をフェイスブックにあげた。そしてアソ・タロは、現職を辞任しないと断言している。しかし、この与党が国会での3/4の議席と、メディアで大きな印象を与える影響力を確保しているとしても、おそらくモリトモ事件はこの首相の無敵伝説の終末を告げる。2012年に政権に復帰して以来、彼はあらゆる危機を排除してきた。

「アソ・タロは辞任するでしょう。アベ・シンゾは、9月に行われる与党の選挙では窮地にあるものの、居座るでしょう」と、アナリスト トシカワ・タカオは主張する。「これからアベ・アキエは、果てしなくつきまとう陰気な疑惑の雲とともにあるでしょう。報道機関は彼女のことで(sur elle)とことんまで楽しむでしょう」とマイケル・ジュジェは予測する。アベ・シンゾが始めた憲法改定を始めとする大きな改革は、廃されるものと思われる。

12日夜、首相の本拠地であるカンテイ前や、さらには札幌や大坂でも、何百名もの活動家たちがこれまでのデモの反アベのプラカードを再び持ち出して、警察のピリピリとした監視のもとで声を枯らしながら「アベ ヤメロ!」と叫んでいた。
(Le Figaro紙 2018年3月13日)