進行したCOVID-19からの回復をレムデシヴィルが促進することをNIHの臨床試験が示す

進行したCOVID-19からの回復をレムデシヴィルが促進することをNIHの臨床試験が示す

 

2月21日に始まった1063名の患者による無作為抽出試験からの暫定的データによれば、進行したCovid-19と肺病変にて入院し、レムデシヴィル(remdesivir)の投与を受けた患者は、プラセボ投与群より早く回復した。この臨床試験(Covid-19治療適応試験)は、アメリカにてNIHの一部である国立アレルギー感染症研究所(NIAID)からの資金援助を受け、COVID-19の試験的治療法を評価する目的で最初に開始された臨床試験である。  

 

この臨床試験を監督している臨床データ監視委員会は4月27日に会合をもち、データを審査し、研究チームとその暫定的な解析結果の共有を試みた。彼らはそのデータ審査に基き、レムデシヴィル(remdesivir)は、インフルエンザの臨床試験でよく使用される評価基準である、主要評価項目および回復に要する時間において、プラセボ群より優れているとした。この検討では、回復とは病院から退院もしくは日常の活動水準に戻るほど良好な状態と定義されている。

 

暫定的な結果では、レムデシヴィルを投与された患者は、プラセボ群と比較してその回復時間が31%早い (p<0.001)。特に回復時間の中央値は、プラセボ投与群の15日間に比較してレムデシヴィル投与群では11日だった。また今回の結果は生存率の改善も示唆しており、プラセボ投与群の死亡率11.6%に対してレムデシヴィル投与群の死亡率は8.0%であった (p=0.059)。

 

この検証データに関して、さらに詳細な情報は、より包括的なデータも含めて、近々に発表予定のレポートで明らかにされるであろう。可能性のあるCOVID-19の治療法の開発と有効性を促進するFDAの取り組みの一部として、この機関はレムデシヴィルを可能な限り迅速かつ適切に患者に使用できるようにすることに関して、Gilead Sciences社との間で現在進められている協議に継続して関与してきた。この臨床試験は新規登録されることとなって4月19日に終了した。国立アレルギー感染症研究所も、Covid-19治療法適応試験を推し進める計画に更新情報を提供するであろう。この試験はさらなる試験的治療法を実現に持っていくための適応試験であった。

 

Covid-19治療法適応試験の最初の被検者はアメリカ人で、ヨコハマに停泊したダイアモンド・プリンセス号において隔離措置を受け、その後アメリカに送還され、最初の試験施設となるネブラスカ大学医療センターにて2020年2月にこの試験にボランティア参加した。最終的には合計68の施設、アメリカ合衆国の47施設、ヨーロッパとアジアの21施設がこの試験に加わっている。

 

レムデシヴィル(remdesivir)はGilead Sciences社が開発した広域抗ウイルス剤で、10日間連日で点滴投与される。これはSARS-CoV-2感染治療の動物モデルにおいて有望とされており、さまざまな臨床試験で検討されている。

(National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID) News  2020年4月29日)