アストラゼネカ社が歩むゴルゴダへの道

アストラゼネカ社が歩むゴルゴダへの道

イギリス・スウェーデンオクスフォード大学が開発したワクチンが不運につぐ不運に見舞われている


アストラゼネカ社には、オリヴィエ・ヴェランを称賛すべきだということを疑うものはいない。このフランス厚生大臣は、2月8日に首相官邸で、イギリス・スウェーデンオクスフォード大学のグループが開発したこの製品の接種を受けただけではないのだ。「すべての看護師」にも、「なるべく迅速に自分の身を守れるよう」にそれを同様に行うよう促した。その前日に南アフリカの厚生機関は、B.1.351変異株に対するイギリスのこの調合薬のあまりに低い(推計22%とされる)効果を考慮し、同国内でのこのワクチン接種キャンペーンを中断するという決断を取っている。彼は記者会見においてこの措置についても尋ねられた。「私はアストラゼネカのワクチンによる接種を推奨しつづけています。それは、私たちの国土に広まっているこのウイルスの99%から守ってくれるのです」と彼は主張した。フランスは6日に同ワクチンの27万回分を受け取り、8日には30万人が接種を受ける予定で、このペースは2月いっぱいは高いままである。

 

さしあったってフランスでは、B.1.351南アフリカ変異株が超少数派であることは真実である。そしてアストラゼネカのワクチンは、オクスフォード大学がLancet誌のプレプリントのサイト、つまりは査読を受けない形で2月4日に発表した研究が示しているように、2020年12月にイギリスのケント州に出現したB117変異株に対しては良好な効果を持っているようである。しかもこの変異株はフランスでは重要性を持ち続けている。しかしながらこの巨大製薬会社は、この2つの朗報があっても心穏やかではない可能性がある。というのも、ヨハネスブルクのウイットウォーターストランド大学の研究がこの週末にネットを炎上させている。南アフリカ変異株がすでに32カ国で見つかっている。ワクチン学教授のシャビール・マディのチームは、イギリスのこのワクチンは、主要株では75%の有効性を示しているものの、南アフリカ変異株での効果は22まで下がると結論づけている。

 

公式には、南アフリカ政府は、この領域ではかなり減らしたサンプル数となる2000人を対象として行われるこの研究のより完全な結果を待つまで、このワクチンのキャンペーンを保留しただけである。このワクチンは、少なくともCovid-19の重症型からはおそらく守ってくれるであろう。しかし、すでに100万接種分を受け取っている南アフリカと、アストラゼネカにとって、この一撃は厳しい。これはケンブリッジのグループが被ってきた一連の不運に引き続いて起こっている。まずは2020年9月にイギリスの1人のボランティア被検者に認められた横断性脊髄炎という重度の神経疾患の症例があった。この事故とワクチン接種との関連については、ヨーロッパ、ブラジルと南アフリカでは臨床試験に1週間を充てただけで退けられている。しかしアメリカの機関(FDA)は、一連の手続きの再開にあたって6週間の中断を必要とした。そして、第三期臨床試験の被験者たちの一部に、ある下請けが実行したありえない接種量ミスが起こった。彼らは初回投与にあたって、投与量を全量投与せずにその半量を採用したのだ。オクスフォード大学は、今回の臨床試験ではこの投与量のままでいくと決断した。それゆえ2020年12月にランセット誌にて最終発表を行った際には、世界中の専門家たちがあまり明確でも厳密でもない数字とか、異なる国に由来するだけならありがちだが、しかし用量と間隔の異なる2回の接種を一緒にしたデータに気がついた。この時、ヨーロッパ薬剤機関(EMA)のある専門家は、「同じフルーツバスケットに集められたリンゴとポワールとバナナということですよ」と言っている。

 

より有効な競合製品

アメリカでは、FDAはこういった問題を伴って提出された製品を信用しても問題ではないと通知した。そこでFDAが要求したのは、65歳以上の人たちの十分な症例数を加えることによるアメリカでの臨床試験の追試験である。このイギリスのチームは、高齢者層の被検者も十分な人数で募集していなかったからである。今回のパンデミーを概観するならば、第4世代が重要であり、これを考慮したEMAは、緻密な議論を経てこのワクチンを、65歳以上のデータがないことは強調しながらも、18歳以上のすべての人々に推奨するよう決断した。満場一致からはかけ離れた見解である。ドイツの機関はこれとは反対に、このワクチンを65歳以下に割り当てることを選択した。フランス高等健康機関については、正確には高齢者を外さなかったものの、50-65歳の区分と65歳以下の医療従事者を優先することを推奨している。オリヴィエ・ヴェランはこの区分なのである。

 

これ以外にもアストラゼネカ社にとって裏目に出たものとしては、次のようなものがある。変異株との闘いでは対抗企業の方がうまくいっている。まだ臨床試験による確認が必要だが、ファイザー・BioNTech社とモデルナ社の2つのmRNAワクチンは、南アフリカ変異株への強い作用を保持しているようだ。ジョンソン&ジョンソンのグループは、そのウイルスヴェクターワクチンで、同じような方向にいく結果も公開している。なるほど同社の候補ワクチンは、効果が72%(アメリカ)から57%(南アフリカ)まで下がることが認められている。しかしB.1.351変異株に対しては、その効果はWHOが強調する50%以上のままである。アメリカの新興企業ノヴァヴァックスも、90%の有効性を持つ同社の不活化ワクチンが、南アフリカの被検者たちに49%の水準、実質的にはその変異株による感染者すべてに有効性を保持していたため、このイギリスの巨大企業よりも良好に難局を切り抜けた。

 

コシャン・パスツール ワクチン学センター所長の感染症学者 オディル・ローネイにとって、この結果は「残念ながら驚くべきことではない。免疫学的データでは他のワクチンほど抗体価が上がっていない」のである。彼女は「これはWHOに深刻な問題を与えかねない」ともいう。大国ならば自国の厚生機関が使えるとしても、小さな国々はWHOが認める「事前審査」に頼るからだ。B.1.351変異株がその帆を広げるとき、その機関は何をし始めるか。対抗商品より十分に安いワクチンに対してどのような立場を取り、低所得、中間所得の国家に対するWHOの戦略の柱をまとめるのは誰か。WHOが進めている先行ワクチン、ファイザー社のCovaxは35万接種分が予約購入されており、WHOのワクチン接種諮問委員会は、まさにこのイギリスの候補ワクチンを検証しようとしている。ちょうど2月8日には一つの会議が計画されている。WHOは、「今週中にも」いくつかの勧告が全世界に公表されるであろうと明言している。

(Le Monde紙 2021年2月10日)