ワクチン: Pfeizer, Moderna, AstraZeneca... 各社はどれくらいの本数を生産できるのか

ワクチン: Pfeizer, Moderna, AstraZeneca... 各社はどれくらいの本数を生産できるのか

 

この3社はそのワクチンがヨーロッパとアメリカですでに認可されているもしくはもうすぐ認可されるが、非常に複雑でもある局面に臨んでいる。つまり大量となる本数の生産である。「diesel」の稼働後、3社とも出力アップしなければならず、アストラゼネカ社がもっとも有力である。

 

下請け企業との協定、新規生産ラインの開設、供給の増量、熟練した人材の採用... ワクチンの大量生産には時間がかかる。

 


ほとんど始まっていないのに、すでに破綻しそうだと?なるべく多くの人々をCovid-19の流行から守るべく、世界中の到るところでワクチン接種のキャンペーンが加速しており、全ての国が使用可能なワクチン接種量の限られたストックに対して妥協を余儀なくされている。フランスはこれまでに数千人にしかワクチン接種をしていないのだが、もしもフランスが、アクセルをベタ踏みで始動していたドイツ(23万8千人がワクチン接種)とりわけイギリス(100万人が接種)が現実的に欠乏状態に直面しているというというような懸念によって当惑していないないとすれば。

 

イギリスの方では、コロナウイルスの新規変異株の伝染速度が60%近くに増大し、そのうえ関係機関は2回目の接種を初回接種後12週間以内にまでずらして、ワクチンも2社製品を混合(初回接種をファイザー/BioNTech次いで2回目をアストラゼネカ社)することにした。その作用機序が異なるかもしれないのに。あるイギリスのレポーターは「これはパニックだ」とコメントしている。

 

メーカー側は不休で活動している。下請け企業との協定、新規生産ラインの設立、供給の増量、熟練した人材の採用。しかし、新規ワクチンの大量生産は単純なものではなく、主効力となる成分のRNA断片をこの期間内で生産するには限界がある。それが大量生産されるには、複雑なプロセスにあたって多数の酵素が必要となる。「diesel」(*?)の稼働以来、それでもファイザー/BioNTech社とそれに続く2社、モデルナ社とアストラゼネカ社は、ここ数ヶ月間で生産力を伸ばさなければならない。しかし、各社にはどの程度の生産能力があるのだろうか。そして生産拠点は。

 

ファイザー社/BioNTech社は順調に上昇している

コロナウイルスのワクチンとしてヨーロッパ当局の許可を得ているのはファイザー/BioNTech社だけなのだが、2020年には1億本の契約を行っていたものの、そのうち納入できたのは5000万本だけである。彼らは2021年に、約束した13億本に加えてこの遅れをしっかり取り戻すつもりでいる。追加発注の交渉が行われているEUが発注した3億本、アメリカ待っている6億本を提供するものである。

「Der Spirgel」紙での1月1日のインタヴューにおいてBioNTech社の共同経営者ウーグル・ザーインは、現在の状況はバラ色ではないと見ている。「ほかに認可されたワクチンがない状況なら、不足分はうちのワクチンで補うしかない。」

 

目標を達成すべく、両社はその生産能力を上げている。カラマズーにあるアメリカの拠点のほかに、ヨーロッパでの第二の生産施設が2月にマーブルグ(ドイツ)で稼働される。これはプールスにあるベルギー工場(2021年が終わるまでにここから5000万本)に加えて、第1四半期に2億5千万本の追加ワクチンを供給しなければならない。さらに別の交渉もヨーロッパの5つのメーカーと進んでいる。

 

モデルナ社は委託しなければならない

すでにアメリカでは14日前から展開されているモデルナ社のワクチンが、今週ヨーロッパ薬剤機関の承認を得ることになる。この製薬会社は、2020年末までに2000万本を用意しており、今年の第1四半期に1億から1億2500万本、年間で6億から10億本まで定期的にゆっくりと増産する見通しである。

 

つまりファイザー/BioNTech社よりも少ない生産量である。その理由はとても単純で、モデルナ社のワクチンには100μgのRNAが必要で、ファイザー社のワクチンに含まれるのは30μgだけなのだ。3倍である。このワクチンでFDAから全く初めての承認を受けたモデルナ社は、自社には年間1億本の生産能力しかなく、製薬化学業界の下請けの世界的な先進企業であるスイスのLonza社と生産協力体制に入らなければならなかった。この企業は4億本が生産可能な4本の生産ラインを整備しており、そのうち1本の生産ラインはアメリカのニューハンプシャー(年間1億本)、3本がスイスにある(3億本)。

 

スイスの週刊誌「Sontags Zeitung」によれば、このヨーロッパ工場は1日に80万本の生産が可能であり、1月3日に生産を開始する認可を受けている。場合によってはこの生産能力は拡大されるだろうとLonza社の社長はブルムバーグ紙で示唆した。EUから1億6千万セットの受注を可能としたのはこの人物である。

 

アストラゼネカ社/オクスフォード大学は大量に用意している

先行する2社よりもずっと低価格で(1本約2.5ユーロ)保存も容易なアストラゼネカ社とオクスフォード大学が開発したワクチンは、最も強力な生産能力も配備している。この製薬会社によれば、2021年の第1四半期から10億本の提供が可能で、今年は30億本と見込まれている。

 

これを実現するため、この製薬会社はインド、ブラジル、ロシア、さらには南アメリカの下請け会社と、世界中で20あまりの提携契約をしている。「私たちは、きちんとした公正な供給が可能で競合関係とならないような独立した物流網を配備しています」とこのプロジェクトの責任者パム・チェンが2020年夏、第2四半期の収支報告の際に言っている。

 

特に、最近同社のワクチンが承認されたインドの場合には、発展途上諸国に対して生産・供給する後方拠点とならなければならない。考えるまでもなく、ヨーロッパは2月中まで、アメリカは4月中まで同社のワクチンの承認を待つことになるであろう。

(Les Echo誌サイト 2021年1月5日)