2015年には2000万人の来日があり、日本では観光業が急成長している。地元住民たちにとっては気にくわない人たちである。そして彼らの言動がそれを示している。例えばそれが、今回の多発「わさびテロ」事件である。
「本日は多数の外人のお客様にお乗りいただいており、大変ご迷惑をおかけしております。」 10月10日の関西国際空港に向かうある電車の中で、車掌が流したこの放送が、日本で問題となった。この件は、ある日本人女性がこの地元鉄道会社に、あれは車掌に対する社内ルールに定められた内容の放送なのかどうか知りたい、と問い合わせたことから炎上した。
その次の日の朝、鉄道会社 南海電鉄は、この従業員の「不適切な」対応について公式に謝罪を表明した。同社によれば、トラブルが起こりそうなので車掌が未然に防ごうとしたのであって、差別から行ったことではないのだという。この車両が大阪の難波駅を出る際に、「外国人が多くて邪魔」というようなことを大声で叫んでいた日本人男性がいたのだという。同社は「お客様によって区別をするような言葉はふさわしくない」と断言している。
ワサビの伏兵
その翌日には、風刺的なサイトThe Rising Wasabi(ローカル版のGorafiみたいなもの)が、外国人専用の車両を作った「大阪の会社」として話を盛った文章を掲載した。この記事によれば、「その車内は、いかにも横柄で無礼な感じだった」としている。この記事では、日本のみならず海外でも同様に、たびたび表明されていた批判も繰り返している。
観光で飛躍しつつあるこの国では、このような不協和音は初めてではない。この電車の非難は、SNSで「わさびテロ」と呼ばれた事件に続くものである。その数週間前に、関西きっての都市である大阪で、ある寿司屋が、韓国人旅行者たちにメガ盛りのわさびを仕込んだ寿司を出していたことが取り沙汰されていた。ワサビというのは日本の香辛料で、本場の江戸前寿司であれば、きりっと冷ました寿司飯を小振りに握って、そこにちょこんとのせるものである。
非難を受けた店舗の経営母体である、食品業界大手フジイ食品の子会社のイチバズシ・チェーンも、また弁解している。そして、「外国人が増え、ほとんどがワサビ、ワサビとかガリとかおっしゃるので、従業員があらかじめワサビを増やしていただけ」だとして、人種差別主義の店だとの非難をすべて却けている。シャリとネタの間に仕込まれたすごい量のわさびテロ画像が、瞬く間にSNSで拡散され、これをテレビ局が繰り返し流した。
客人を歓迎し振る舞う、オ・モ・テ・ナ・シの慣習に定評があったはずの日本で、これらの件はかなりの騒動となっている。日本は現在急成長中の観光業で、自信たっぷりに売り出し中なのだが、これはそこに水を注しかねない。8月に日本は200万人の外国人旅行者を受け入れており、この数字はこの1年間で12%増加している。政府は、2020年の段階で、2015年の2倍となる年間4000万人の来日を目標としている。
(M le magazine du Monde 2016年10月22日)