2020年トーキョーオリンピックの鍵となる人物の苦しい弁解

2020年トーキョーオリンピックの鍵となる人物の苦しい弁解

 

謎めいたロビイ活動が200万ドルを支払った理由とは。AFPの入手した尋問状況によれば、2020年トーキョーオリンピックの鍵となる人物、タケダ・ツネカズは、買収で12月に捜査に入るにあたって、パリの判事事務所で苦しい弁解をした。

 

 

司法は、2013年9月7日にオリンピックを東京に割り当てた際に、「IOCメンバーからの賛成票」を得るために彼が認可した2013年7月と10月の2回の送金を問題としている。

 

スポーツ界でのいくつかの買収事件の捜査は、このメンバー内の元国際陸連の会長で影響力のあるセネガル人、ラミーヌ・ディアクに集中している。その息子がパパ=マサッタ・ディアクである。この2回の送金(総額230万ドル)は、実態が全く分からない会社 ブラック・タイディングス社の口座に、公式にコンサルト業務への報酬のためとして、「トーキョー2020年オリンピック競技入札」として届いている。

 

ところが、12月10日の尋問の際に判事ルノー・ファン・ルインブケとステファニー・タショーは、シンガポールでは捜査員たちによればブラック・タイディング社はすっかりもぬけの殻みたいなもので、現地にはパパ・マサッタ・ディアクと親しい関係にある管理人イアン・タン・トン・ハンなる人物が暮らすアパルトマンがあっただけで、その事務所が確認できなかったことを明らかにした。

 

国際陸連の前マーケティングコンサルタントであるパパ=マサッタには重い嫌疑があるため、現職のJOCの会長にとってこの関係は厄介である。

 

この人物はもはやセネガルから出国しようとはせず、フランスの司法はこの人物が、ロシアでのドーピングの件を国際陸連が見逃す代償から利益を得ており、スポンサー契約に関連する、もしくは2016年リオおよびトーキョーオリンピック誘致のための収賄に触れている。パパ=マサッタはこの起訴に対して異議を唱えているが、フランスの捜査員からの事情聴取が全く及ばない。

 

「今回の複数の契約が署名された時期には、招致委員会も私自身も、タン氏とパパ=マサッタ・ディアクとの間にこういった関係があることを知らなかった」とタケダは断言する。「私はパパ=マサッタ・ディアクとは面識がないし、彼と言葉を交わしたこともない、彼については全く知らない」と、この71歳になる元オリンピック乗馬選手は主張する。

 

黒塗りのレポート

2013年7月付の95万ドルの当初の契約のほかに、10月になされた「オリンピック獲得を良い方向へ持っていくための」137万5千ドルの追加送金が不審視されている。ニツポンの調査委員会によれば、ブラック・タイディング社は4つの報告書を出しており、その1つは「成功するための理由」を詳細に述べている。

 

95万ドルの契約は?この前招致委員長は、2度目の報酬については「知らされていない」として、「この金額が特別に高額だとも思っていなかった」と矮小化しようとする。もしも7月の送金を許可したことについて「ロビイ活動」のためであると認めたりすれば、彼にはNo.2がいないので、タケダ氏はこれらの契約にも「コンサルタントの選択」にも絶対に関与していなかったと断言している。

 

彼によれば、招致委員会にブラック・タイディング社を推薦したのは、ニツポンの巨大な広告会社デンツであった。デンツは国際陸連の主要なマーケティングパートナーであれば、その連関はパパ=マサッタ・ディアクが長い間管理してきた関連書類を探る(?)。嫌疑の対象となっているデンツと国際陸連の間の契約によって、6月には、世界陸上の前会長で、すでに贈収賄で起訴されている彼の父親 ラミーヌ・ディアクが、背任として審理されることとなった。

 

「もっと明確にお願いします」と判事たちはタケダ氏に向かって促した。「タン氏は国際陸連に知り合いが沢山いるに違いなく、国際陸連内部の国際オリンピック連盟のメンバーたちに関する情報を、誘致委員会にもたらしたに違いない」と彼は進める。ラミーヌ・ディアク自身が、司法官たちを前にして、トーキョーへの便宜を隠蔽することなく「各自の票を調べる」るために、IOCのアフリカのメンバーたちを集めたと言っている。

 

タケダ側の弁護団は、最終的にこの判事たちに複数の文書を提出しているが、判事たちは投票後に作成された1本のレポートだけで辛抱せざるを得なかった。問題点があって、あちこちの部分が「誘致委員会によって黒く塗り潰されて」おり、ニツポンの調査団がこれを「そういうものとして」受け取っていただけに、この「びっくりする」ような事態に「一般命令を考慮」すれば全く承服しかねる司法官たちは歯ぎしりしている。

 

「230万ドルに及ぶ報酬を受けたコンサルタントたちのレポートが、招致委員会に保存されていなかったとしても、意外ではないのでは」と彼はたたみかける。「彼らが報酬を手にしたと証明する明確な要素は何なのですか。」この2020年オリンピックの中心人物は無実を主張する。それ以後は、彼は「協力」したいのだとしている。接触を受けた彼の弁護士は、金曜日には連絡が取れなかった。

(AFPサイト 2019年1月18日)