カルロス・ゴーンは自らを「陰謀の犠牲者」だと言う

カルロス・ゴーンは自らを「陰謀の犠牲者」だと言う

 

 

1本のヴィデオで、現在勾留中の前ルノー社長は、ニツサンの幹部たちを非難した

 

 

「皆さんがこのメッセージをお聴きであれば、それはおそらく4月11日に予定されていた私の記者会見が開けなかったということになります。」白いシャツに黒いヴェスト、顔色は青白いものの穏やかに一言づつ区切った声、カルロス・ゴーンは、新たな弁護士イロナカ・ジュニシロが4月9日に居並ぶ記者たちの前で流した10分ほどのヴィデオで、自らの無実を主張した。このルノー・ニツサン・ミツビシの前会長は、保釈中の4月4日にニツポンの検察によって4度目の再逮捕を受けた。彼は現在、世界最大の自動車製造グループの幹部だった当時の所得隠匿と特別背任による起訴を受け拘留されている。

 

「これは一人の人間の金銭欲、専制の問題なのではありません。裏切りの陰謀の問題なのです」、ニツサンの指導部が画策した謀反を明白なやり方で暴きながら、ゴーン氏はこう宣言した。「個人的な利益にとらわれ、利己的な危惧のせいで大きく価値を損ねた一握りの執行部幹部たち。」ただし、彼が逮捕される直前の4月4日に記録されたこのビデオは、彼との中心となる約束を守っていない。この失脚した社長は、予期されていた事態に反して氏名を一切明かしていない。彼の弁護士たちが、関与した人物たちを直接告発している部分を編集の際にカットしたためである。

 

人々が彼に対してある種の貪欲な暴君のような歪んだ人物像を抱いていると考えたカルロス・ゴーンは、自らのこの事件に関する見解をこのビデオで広めた。「私はニツサンが好きです、ニツポンを愛している。愛してもいないのにある国に20年も住み、ある企業のトップにいるような人はいません。」ニツサンの独立と自己決定に対する脅威と受け取られた、(ニツサンとルノーの)合併を危惧するがゆえに、この陰謀は突然実行された。ニツサン-ルノーの提携の業績がこの数年間実際に不振だったことを遺憾に思うまでもなく、この前会長は、「自己決定をしていく基礎には、業績がなければなりません」と強調する。ニツサンの営業利益は、この2年間明らかに低迷し4%を下回り、北アメリカ戦略市場での結果は壊滅的である。もしもニツサン側の人間が、ゴーン時代からの収益性を犠牲にした総販売量の方針を是が非でも非難するなら、この前会長はその名をあげることなく、2017年からのニツサンの正規副社長、サイカワ・イロトの「不健全なお遊び」をこき下ろす。

 

新事実の発覚と逃亡

一旦ビデオが放映されると、イロナカ弁護士は「3回逮捕され、保釈されており、証拠となる材料を所有している可能性はあまりない」ゴーン氏の今回の逮捕とその家宅捜査を、「人権侵害」だと激しく非難した。彼は容疑者でもないゴーン氏の妻カロルに対して家宅捜査の際に行われたパスポートと電話の押収を批判している。訴訟手続きの公正性に懸念を強調している点であり、そこでこのビデオでゴーン氏が「公正な訴訟」を願うと言っていることである。

 

4月10日にゴーン氏の弁護団は、保釈されている人物が新規に逮捕されるなぞ異例なことだとして、彼らの依頼主の再逮捕に異議を唱える呼びかけを特別に準備した。弁護士たちは、検察側は証拠隠滅もしくは逃亡の危険性がありうると証明しなければならないと考えている。同様に、イロナカ弁護士は、不確定な10日間の勾留延長には異議を申し立てることになるであろうと言っている。

 

同時にニツポンの報道では、検察とニツサンによって組織されたまことしやかな逃亡一点張りの暴露が続けられている。4月9日に日刊紙アサイは、ベイルートにおいて、2017年に死去したリビア人弁護士ファビィ・ゲブランが2015年4月に創設した投資基金、Good Faith Investments社と同じ住所に登録された、40あまりの会社があることを暴露する記事を発表した。GFI社はゴーン氏に有利な形で迂回された金銭を受け取っており、それは1220万ドル(時価13億5千円)の価格のヨットの購入に使用されている。その一部はカルロス・ゴーンの息子が米国パロ・アルトに設立した有限会社ショーグン・インヴェストメントにも送金されている。

(Le Monde紙 2019年4月10日)