2017-07-21

ノーベル賞受賞者リウ・シャオポーの妻の境遇に対する中国における懸念

この「反体制者」の葬儀以来、詩人リウ・シアの身内や友人たちにはその消息が分からない



芸術家リウ・シアの夫、ノーベル平和賞受賞者リウ・シャオポーが死去してから4日がたったが、友人たちには彼女の消息がずっと途絶えている。7月15日に非公開かつ厳重な監視下に行われたこの「知識人の反体制者」の葬儀にあたって、政府により公開されたリウ夫人の写真を目にして以来、彼らは彼女の安否を懸念している。

アメリカ、EUもしくはオーストラリア政府も、この「詩人であり写真家」を国外退去させるよう、中国政府に呼びかけた。2016年に彼女は父を喪い、母親も4月に死去している。ノルウェーのノーベル委員会は、リウ夫人の境遇に対して「深く憂慮している」と言っている。

これに対して15日、リウ夫人が入院している瀋陽市の政治広報局責任者チャン・キンギャンは、「自分が知る限り、リウ・シアは自由ですよ」とぬけぬけと主張する。さらに喪に服す間は「彼女は外部のドタバタまでは受け入れられないのです。」「中国政府は、彼女の中国市民としての正当な権利を擁護するでしょう」とも言う。しかるにリウシアは、2008年末に夫が逮捕されて以来、裁判による判決を受けたわけでもなく、自宅監禁され外部との接触を断たれている。

葬儀の画像には、黒メガネをかけ、火葬場で兄に慰められている夫を亡くした女性が、夫の長兄の他3名と写っている。この「知識人」の遺灰は、そのまま大連市沿岸の海に散葬された。体制側から見れば、墓を残せば人権擁護派の聖地となりかねない。脚光を浴びている中国人芸術家アイ・ウェイウェイは、ツイッターで「非人道的で、侮辱であり、恥辱であって嫌悪感を覚える」と告発している。

それに続く記者会見は、中国の活動家たちを深く傷つけた。13日に肝癌で死去したリウ・シャオポーの長兄、リウ・シャオガンは、テレビカメラの前で20分余りにわたって中国共産党を賛美したが、この中共(PCC)こそ、リウ・シャオポーがその生涯にわたって告発し続け、彼が中国の民主化のための声明を2008年に起草するや、彼を「国家転覆」として投獄したのである。末弟が自らの自由と引き換えに絶えず告発していた「社会主義体制」を擁護するよう、どのような強制手段で彼を説得したのかは知らないが。


「党の配慮」
「今回の火葬と海洋散骨の方式については、一貫して私の三番目の弟リウ・シャオポーによるもので、その処置はすべて党と政府による人道的な気遣いや配慮を示すもの、象徴でした(?) 」と「体制批判者」の兄は断言し、今回の葬儀の一連の流れを明らかにしながら、故人の亡骸を埋葬すれば「特定される場所ができてしまう」し(?)、「工事」も必要になるし(?)と言う。「私にできることは、それはひどいと言うだけで、しかしそれは21世紀の環境の概念(?)には全くそぐわない。」(*この段落は多分訳せていない)
ひとたび独裁政党への賛辞を述べれば、兄は退場してもよかった。「リウ・シャオガンはとても心を痛めている。今は休息を取るよう言いたい。」と通訳は言った。兄はホールを出る時、すでにタバコをくわえていた。何人かのジャーナリストが質問を試みた。「あなたは自由なのですか。」「今、リウ・シアは何処にいるのですか。」その答えは得られていない。
(Le Monde紙 2017年7月18日)