コロナウイルス: 「ダイアモンド・プリンセス号」の船上で懸念される閉ざされた扉

コロナウイルス: 「ダイアモンド・プリンセス号」の船上で懸念される閉ざされた扉

 


このニツポン船の旅客たちは船室に閉じ込められている

 

 

船内待機は苦痛で、新しい情報も嬉しいものではない。ヨコアマ港の埠頭のダイアモンド・プリンセス号は、中国以外では新規コロナウイルス汚染の主要な発生地である。その流行は入院となった218名の乗客に感染し、うち44名が新たに2月13日に報道されたものだ。10名は重症である。たまたま乗船していた4名のフランス人のうちの1人、ミシェル・ヴィットーリ80歳が感染していると、彼の妻が13日にRTLに確認している。

 

この船には3.711名の乗客と乗組員がいた。このウイルスは、今回の旅行の一環で1月20日に同じヨコアマ港から乗船し、25日にオンコン特別行政区で下船した1人のオンコン人によって持ち込まれた。彼は咳をしていたが船内の診察室では診てもらわなかった。そして、この元イギリスの植民地にある病院で彼に陽性との診断が下されたのは、そのわずか6日後だったのである。彼が去ってから1週間以上にわたって、乗客たちは、何名かのコロナウイルスのキャリアも含めて同じレストランで食事を共にし、同じショーを見ていた。

 

この船は2月3日からヨコアマ港に接岸し、船内での隔離期間が独断された(décrétée)。この隔離は理論的には2月19日に終了となるはずだが、新たな患者は連日のように出現している。

 

乗客たちは、新たな患者たちはすでに感染していたものが潜伏期を過ぎて出現したものなのか、あるいは新たな感染なのか、この衛生上の監禁の枠の中で知らされないまま各自の船室に閉じ込められている。「この船に乗っていると、全員が近接してこもっているから、ずっとリスクが高いんだと考えるようになりました。自分たちがウイルスに再曝露されていないかどうかなんてよく分からない」と、カリフォルニアから来て、バルコニー付きの船室に11日前から監禁されているサラ・アラナは本紙に語った。ニューヨークタイムズ紙によれば、アメリカは希望する自国民を撤収する準備を整えた。

 

乗客たちはそこで、このターミナル港の埠頭で救急車や白い防護服を来た医療スタッフが感染者を運び出していくのを目にせざるを得ない。課金通信量に応じて彼らはインターネットに接続し、SNSでその終わることのない日々について語ったり、スタッフが持ってきてくれた料理や、配給された数独や子供用のおもちゃ、彼らがその船旅にかけられた予算に対応した多かれ少なかれ手狭な船室、時間を潰そうとしている運動や気晴らしの画像をあげる。イギリス人の退職者、サリーとデイビッド・アベル夫妻は、フェイスブックにリアルタイムで配信した映像で、除湿機を届けてもらうのを楽しみにしているなどとも言っているが、しかし何よりも、自分たちのどちらかがもしも感染していることになったら別々にされる不安を伝えている。

 

階級のヒエラルキー

デッキが17層あるこの船では、階級のヒエラルキーがしっかりある。隔離措置は従来の各自の財力に応じて展開している。バルコニー付きスイート船室で隔離された人々にとってはより許容しやすく、財力が弱く、二段ベッドのつつましやかな船室に監禁された家族にはずっと辛い。アラナ夫人は、「気分は憂鬱。隔離措置が管理されているやり方については口論だらけで、乗客によってはとてもフラストレーションが溜まってる、特にバルコニーのない船室にいる人々ね」とも言う。

 

いろいろと最もたいへんなのが乗組員の1045名で、いくつかある共同寝室で寝泊まりし、各自が厨房で他の人々と接触し、それぞれの船室のドアまで食事の皿を届けなければならない。冷静になった後、インドやフィリピンからきた従業員にはもうそれ以上文句を我慢できなかった人たちもいる。2月10日に6名のインド人調理師が、フェイスブックにあげた動画でナレンドラ・モディ政権と「国連にも」援助を求めている。

 

保安チームの係員、ソナリ・タッカーは、旅行者たちの健康を維持するための隔離措置の規定が、なぜ乗組員には適用されないのかと自問し、「遅すぎて手遅れになる前に行動しよう」と呼びかけた。「私たちはこれ以上この船に乗っていたくない。もっときちんとした安全な環境を求めて下船したいのです」、彼女は2月13日にニューデリーのテレビ局NDTVでこう語った。「検査で陰性とされた人々がいます。どうして彼らをこの感染しかねない環境から出さないのですか」。プリンセス・クルーズの主催者は、乗組員にはこの難局が終われば特別に2ヶ月間の有給休暇の権利があると発表している。

 

ニツポン政府は、陸上での隔離措置の受け入れを、ウイルスの拡散を避けるためとして拒否している。13日に、ついに彼らは窓のない船室で寝泊まりしている80歳以上の乗客を下船させ、陸上のアパルトマンへの収容を受け入れた。

 

そのうえニツポン政府は、乗船している人々の一括検査の実施を現在まで拒否している。この政府によれば「難しい」ことなのだと。全部で乗船していた713名が検査を受けている。当局は検査キットが足りないと言っていた。さらには今回の潜伏期間は、検査の反応を全く信頼できないものとする。

 

今後ニツポンは、ダイアモンド・プリンセスがベトナムハロン湾と台湾を経由して寄港したオキナワでの複数の患者や、この船とは必ずしも関係のないトーキョー地域の患者たちのように、国内での感染者が増加していくことになる。13日の時点で、ニツポン国内で39例の感染者が見つかっており、この日ニツポンでは最初の死亡例が出てしまった。感染したタクシードライバーの80代の義理の母親である。

(Le Monde紙 2020年2月16-17日)