ペン・シューアイ: IOCはあらためてこの選手と会見したと主張し、自らのアプローチを弁護した

ペン・シューアイ: IOCはあらためてこの選手と会見したと主張し、自らのアプローチを弁護した

このオリンピック機関は、ペン・シューアイの発言を封じるため中国当局と「結託している(complicité)」と責められている。彼女は、性的侵害で中国の前首相チャン・ガオリを告発している。


国際オリンピック委員会(IOC)は、2月に行われる次の冬季オリンピックの主催国に対して新たな綱渡り芸に専念している。12月2日に出された公式発表で、IOCは、1日に中国のテニスプレーヤー ペン・シューアイと話し合ったと発表して、性的暴行の犠牲者であると主張する中国におけるミートゥー運動出現のシンボルであるこの人物の発言を封じ込めるために中国に諂っている(*de complaisance)という非難に対応しようとしている。

この35歳のテニス選手が現在どうなっているのか、それは彼女が11月の始めに一本のメッセージをSNSにあげてから国際問題となっており、その中で彼女は、中国の前首相チャン・ガオリを性的侵害で告発している。

「私たちも、ペン・シューアイの安寧と無事に関して、他の多くの人物や機関と同じ懸念を抱いている」しかし「私たちはこの人物に対して、非常に人道的かつ集約されたアプローチを選んだ」と、このオリンピック機関は主張して、この面談の録音も動画も公表しなかった。

同選手との定期的な接触

オリンピック機構のトップ、トマス・バックは、同選手と国外の対話者が最初に接触する機会を10日前に得ており、今回の2回目の「30分間の」テレビ会談を推し進めたのは「IOCのチーム」であって、その中ではこの選手は「彼女がおかれた困難な条件を考慮すれば、安全が確保されて元気そうだった」。

「私たちは彼女を強く支援したし、彼女と定期的なコンタクトを取り続けるだろうし、すでに1月には個人的な会見を設定している」それはバック氏との最初の面会の際に検討されたのだと、ローザンヌのこの機関ははっきりと言っている。

このテーマに関してこれまでの発表で行われてきたように、IOCはペン・シューアイが11月の始めに記載した性的侵害の告発についていっさい仄めかしておらず、この点に関する説明も、またこの選手の「居住移転の保証」も要求しなかった。

冬のオリンピックを前に中国政府に配慮する

この忖度(*discrétion)の意図は、次回の冬季ペキン五輪(2020年2月4日から20日)の主催国への配慮と広く認識されており、テニス界の多くのスターたちの強い態度表明や、テニスの女子ツアーを運営する女子テニス協会が1日に発表した中国におけるトーナメントを見合わせるという決定とは対照的である。

IOC中国当局と直接接触していることを否定している。「五輪の三重の参加者(une triple participante)となるので(?)、IOCは中国のスポーツ組織とこれらの懸念に直接取り組んでいる。」「私たちは、各国政府や他の組織の事情や経験を尊重し、このタイプの人道的な問題で最も有効な行動手段と考えられている今回の控えめな外交的手段に訴えている」とこの機関は主張した。

男子プロテニスツアーを運営している男子プロテニス協会は、2日に発表されたその見解によればペン・シューアイとの直接の面会を要求しており、中国で彼女が置かれている状況に影響力を及ぼすための最良の手段は、何よりも現地でその存在を確認することを重視することだと考えている。「我々は、彼女が置かれた状況についてより明瞭なイメージを確実なものとするために、彼女と女子テニス協会とが直接コミュニケーションを取れる回線を早急に開設する呼びかけを繰り返していく」と男子プロテニス協会の会長 アンドレア・ガウデンツィは一度も中国には言及しないテキストで宣言している。

「私たちの誰もが望むこと、それは彼女が無事でいるのを見ること」

女子テニス協会の決定とは逆に、ガウデンツィ氏は「全世界が参加することで、その結果を得るチャンスは上がる」と考えている。しかしながら彼は、「ペン・シューアイをめぐる情勢は、私たちの競技の内部および競技外で危惧を提起し続ける。これらの懸念に対する対応は、これまでは不十分だった」と告げる。

「私たちは会員たちと議論を続け、この問題が進展することを見守って行く」とガウデンツィ氏は、この35 歳の選手がおかれた状況にも直接は触れていない短い文章で結論づける。

2日に質問を受けた世界ランキング2位のダニール・メドヴェージェフは「来週(中国で)トーナメントが行われるなら、たぶん誰もリラックスできないが(…)、しかし次のトーナメントは秋なので、今回の事態がどうなっていくのか私たちは見ています」と明言している。

「多くの国でも問題はあって、それでも私たちはそういう国のほとんどでテニスのトーナメントをプレーしているんですよ」とメドヴェージェフは想起させる。「誰もが望むこと、それは彼女が無事な姿でいるのを見ることで、それが私たちには全く100%分かっていないことです。」

(Le Monde紙 2021年12月2日)