報道に圧力をかけることで非難される日本国政府

日本政府にとって、2016年の幸先は悪かった。1月の終わりに裏ガネ事件で辞職を余儀なくされた経済復興大臣 アマリ・アキラに続いて、政府は、総務大臣 タカイチ・サナエをめぐる論争に立ち向かうこととなった。

議会における48時間前の自らの発言で炎上した論争の収集をつけるべく、2月11日にタカイチ氏は自分のフェイスブックに長いメッセージを上げた。その日彼女は、厳密な「政治的中立性」を遵守しないテレビ局の放送に対しては、中止を命ずることを認める法律があると言っていた。「自分がそんなことをする可能性はほとんどないが、しかし自分の後継者たちがそれを行わないとは保証できない」と彼女は付け加えていた。


放送番組に干渉する事例が増えている
彼女のこの言葉は野党の厳しい反発を引き起こしており、野党はここに表現の自由への脅威を見ていた。民間報道局雇用者組合としては、「これは紛れもなく報道業界に対する威嚇だ」と考えていた。タカイチ大臣を守るために、アベ・シンゾウ首相とスガ・ヨシヒデ官房長官が論争に加わった。アベ氏は、タカイチ氏は「法で定められた手段について言及しただけだ」と断言し、自らは「報道の自由の尊重」することを明言した。

メディアの通信を徹底して厳しく監視するこの政府にとっては、政府によるメディアの統制に関する論争は目新しいものではない。「アベ氏の政権復帰以来、政府が放送番組に干渉する事例が増えている」と与党・自民党の議員 オグシ・ヒロシは認めている。2012年12月に就任するや、アベ政権は友人の モミイ・カツトを公共放送局NHKの会長に据えた。2013年には、アベ氏は情報入手を事実上規制する国家秘密保護法を可決している。


番組を降板となった数多の人物
2015年4月には、政権にあった自民党が、テレビ朝日NHKの責任者を躊躇なく呼びつけて非難し、彼らの放送を政府が妨害できることをすでに知らしめていた。出版系報道機関、特に中道左派のアサヒ新聞、国の南部の県である沖縄の米軍基地の運営を批判していた沖縄の日刊紙などには容赦がなかった。

1月にはテレビ番組の何人かのパーソナリティーの交替が発表され、そこには例えば、公共放送局NHKで視聴者から支持されていたニュース番組「クローズアップ現代」の司会者であった クニヤ・ヒロコの交替などもあって、この論争は新たな広がりをみせた。降板とされたこれらの人物は、政府の行動に対して、みな疑念を提起していた。

同様に、民間放送局TBSの「ニュース23」の司会者、キシイ・シゲタダとゼンバ・タカコの2人に関しては、2014年の年末に、自分たちには「アベノミックス」、政府による経済措置によってもたらされる恩恵はないと国民たちが表明する街頭世論調査を放映したことが、おそらく理由なのだろうと思われている。

とても視聴率が高い情報番組「報道ステーション」を率いるフルタチ・イチロウには、過度に批判的なコメンテーターを喚ぶという厄介な傾向が明らかにあった。そのうちの1人、コガ・シゲアキの放送降板が2015年3月に発表されたが、これは彼によれば官房長官スガ氏から強要されたものだった。

大手放送局の内部の噂では、後者の御仁が (ou 後者のケースでは)、批評家たちを黙らせるために介入をためらわなかったというのは確かなようだ。

知る権利を尊重する国家のランキングにおいて、日本の位置が強く後退しているのはこのような状況においてである。国境なき記者団による2015年のランキングでは、今や日本は180カ国中第61位になっている。2012年には53位だったのだが。
(Le Monde紙 2016年2月15日)