2020年のオリンピック誘致: 日本は「適切だ」と言っている

疑念をかき立てているのは検察である。イギリスの日刊紙 ガーディアンは5月11日の紙面にて、日本が2020年夏のオリンピックを組織するために賄賂を送ったと明らかにした。本年夏のリオ五輪、および2020年夏の東京五輪の配分にあたって行われた可能性がある買収未遂に関して、2015年冬にフランス司法の主導で始まった捜査に、事実上拍車がかかった。

このイギリスの新聞は、日本の誘致チームから2013年にパパ・マサッタ・ディアクのブラック・タイディング社に送られたらしい130万ユーロにおよぶ振り込みに疑惑を向けている。彼は、1999年から2013年にかけて国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーであり、次いで2014年にはその名誉会員となったラミーヌ・ディアックの息子である。


嫌疑
今回の新たな捜査は、フランス検察局(Parquet national financier français)の国際陸上競技連盟(IAAF)に対する捜査結果から派生しており、これによってフランス司法は、11月に当時IAAF会長であったラミーヌ・ディアックの贈収賄に関して調査を行うに至った。この時点でラミーヌは、IOCのポストを辞任している。

オリンピック候補地選定に関して、3月に公表された捜査データによれば、ラミーヌ・ディアックは2020年のオリンピック大会に対して、当初はイスタンブールの候補を支持していた。そこから日本のスポンサー企業がIAAFと莫大な契約を結ぶと同時に、彼は意見を換えている。

ガーディアン紙によれば、「嫌疑の対象となる取り引きのなかで、おそらくトーキョーの誘致機関、もしくはそれに影響力をもつ人々によって送金された130万ユーロが浮かび上がった」ことが、今明らかとなっている。これは、あるシンガポールの秘密口座に送られている。

5月12日に出された声明では、「フランス検察当局は、IAAF内部におけるロシア人選手たちによるドーピング犯罪の隠蔽工作に関連した、贈収賄およびマネーロンダリング事件の枠組みのなかで、「東京2020年オリンピック大会誘致」の文面にあった、ある日本の銀行の公開口座から、シンガポールのブラック・タイディング社の利益となるべく2013年7月と10月に行われた、総額280万シンガポール・ドル(現在の為替レートで180万ユーロ)におよぶ2つの金銭的な動きに対して、2015年12月に証拠固めを行った」とはっきり述べている。

この調査結果を受けて、2015年12月24日に検事局は「上記の取り引きの性質を明確にし、2020年オリンピック競技の主催都市選定のプロセスにおいて贈収賄マネーロンダリングの行為が行われたかどうかを確認すべく、贈賄、収賄、aggravéなマネーロンダリング(?)、組織化された集団で行われた隠蔽工作、犯行団体への協力などにおける中心人物の中から、任意での事情聴取(?)」を始めている。

5月12日の記者会見でこの話題に関する質問を受けた日本国政府官房長官 スガ・ヨシイデは、日本の誘致キャンペーン活動は「適切」だったと断言した。


「ベストな提案」
「私の事実認識では、2020年東京オリンピック競技の誘致プロセスは、適切な方法で行われている。(...) 日本政府はフランス司法機関のあらゆる様々な要望に応えるであろう」と彼は断言しているが、これらの報道機関の情報を受けても、2020年東京五輪誘致団に尋問をするつもりはない。

2020年東京五輪大会組織委員会の広報担当、オノ・イカリコは、「オリンピックは、東京が候補としてベストな提案をしたために、この街に与えられたのだと私たちは考えています」と、彼女なりに断言している。
(Le Monde紙 2016年5月12日)