マクロンさん、この退役軍人も、この高い声のトーンも、私は知ってま

レイラ・スリマニ「マクロンさん、この退役軍人も、この高い声のトーンも、私は知ってますよ」

この作家によれば、ヴェルダンでのある元兵士と大統領やり取り、これは不法滞在者の強制退去について尋ねられたものだが、これはフランスで日常的になっている外国人排斥を示している。彼女は、この大統領が移民たちの尊厳を擁護してくれればよかったのにと思っている。


11月6日ヴェルダンで、ある退役軍人がエマニュエル・マクロンに呼びかけ、「いつ不法滞在者をうちから追い出していただけるのですか」と尋ねました。大統領への上申の作法としては、とてもエレガントで繊細なものです。私はこの退役軍人を知っています。より正確には、私は彼を覚えています。渋いその声、高いトーン、「不法滞在者」と言う時の吐き出すようなシラブル。フランス在住の他所者、アラブ人やアフリカンであれば誰もが、合法であれ非合法であれ、ますますこういう発言が当たり前になっているのだとあなたに認めるでしょう。私たちの滞在に文句を言う彼らのような人たちは、ますます増えています。バスに乗れば有色人種が多すぎるじゃないかと思う人たちで、何かにつけて自分のフランスは変わってしまったと言いたがる。見下し、突き飛ばし、侮辱し、あなたへのサービスを拒否し、イスラムを罵倒する人たち。「大置換」に、「トロワの木馬」に愚痴を言う人たち。自分の家はここなのに、私たちに「自分の家に帰ったら」という人たち。

この質問に大統領は、被保護権がある人たちは受け入れられるが、「自分の国で自由に暮らせる人たちは送還されなければならない」と答えました。私たちのこの退役将軍は、「あなたの答えが気に入りました」と胸を反らせました。

エマニュエル・マクロンは、この男が追い出せればと思っている人たちを、もっと力強くかつ冷静に擁護することもできたと思うのです。この大統領はさらっと、「不法滞在者」という言葉で括っているような人々の話はしていないと言うこともできたのです。またこの「複雑な思想」を擁護しなければならないわけで、移民は人間だし、苦しんでいて、実存しているのだから、移民とはとっても複雑な問題なのだと言うこともできたのです。彼らに「許可証なし」滞在者と呼ばれる人たちも、顔なし滞在者ではありませんよとも言えたでしょう。彼らはお気軽に八つ当たりしていいような観念的な人物ではないのです。学生であったり、ベビーシッター(ヌヌ)であったり、調理師だったり、社会科学の研究者であったり、作家であったり、介護職であったり、親であり、子であり、扶養者なのです。この吐き気がするような発言に対して、誰が彼らの味方になるのでしょうか。彼らが悩まされ蔑まれ、それでも彼らが組み込まれ、働き、愛し合い、生き延びようとしているある国家で、誰かが彼らを気にかけていますか。「この作業を続けていきます」と大統領は言った。この間にも移民たちは全員が仕事を続けていて、それは来る日も来る日も、来年も再来年も、そして人々は彼らに対する搾取には目をつぶるのです。

自由に暮らす?でもこれは一体何が言いたいのでしょう。尊厳もなく、飢えながら、治療を受ける病院もなく、子供を通わせる学校にはトイレも黒板すらないのに、自由に暮らす?希望もなく、発言の自由も言論の自由セクシュアリティの自由もないのに、自由に暮らす?アフガニスタンで自由に暮らすって、そこでは多くの「不法滞在者」が今でも国外退去処分を受けていて、恐怖の中で彼らの運命はひっくり返っているのです。訊いてみたいものですが、アフリカには現在ヒトが人間的に暮らせる国家がいくつあるのでしょう。

生活の場を離れて換えるということは、人生の一部になっているのです。パリに行くため田舎を離れるとか、退屈や無力感から逃げ出すとか、新天地を求めて国を離れるみたいに。幸福を追求するこの個人の正当な権利をないがしろにすることは、誰にも許されません。亡命者、陽の当たらない労働者、私たちの見えないところに押しやられて息を潜めている人々、彼らに滞在許可書はないかもしれませんが、それでも人権はあるのです。彼らについて軽々しく、もしくは尊大ぶって語るような権利は、誰であっても認められてはなりません。そしてその人権の中でも、まず彼らが尊重され「見える存在」として認められる権利。そして擁護される権利なのです。
(Le Monde紙 2018年11月11-12日)
___
Leïla Slimani est journaliste et écrivaine franco-marocaine, auteure de « Chanson douce » (Gallimard, 2016, prix Goncourt 2016) et de « Comment j’écris (Conversation avec Eric Fottorino) » (Nouvelles éditions de l’Aube, 76 p., 9,90 euros). Elle est par ailleurs représentante personnelle du président Emmanuel Macron pour la francophonie, afin de siéger au Conseil permanent de la francophonie