中学校制度の改革  羅甸語乃至希臘語を如何せん

教育大臣はその計画案を見直した。しかしながら古典語の教育を施設の熱意に任せてしまったために、彼女は格差を拡大させるリスクをとっている。

ALEA JACTA EST, 賽は投げられた。2016年の新学期が始まれば、ナジャ・ヴァロー=ベルカセム教育相が2015年3月11日に発表して以来議論の対象となっていた、中学校制度の改革が実施されることになるであろう。大臣は政府のサイト上で、中学校制度を、「不平等を助長する」「一枚岩でできたようだ」「時には退屈になり、さらには仕事や努力への関心の喪失を招く」として、生徒の将来への支援において無力であるという総括を示していた。

これが従来の緊張が具体化した境界点であり、選択科目としてのラテン語ギリシャ語を廃止し、すべての生徒を対象とする単位としてそれを統合する。今年度までは、生徒たちは5年次に週に2時間、ついで4年次と3年次に3時間のラテン語の授業を受けることができた。古典ギリシャ語に関しては、一般的には3年次から週に3時間の配分で教えられていた。この選択科目が、今後は廃止される。その代わりに「中学制度2016」では、フランス語、歴史、外国語といったすべての生徒に向けられた義務教育の根幹となる部分、および「補足的」教育を提供していくことになる。この計画ではそれは、個別の要求に合わせた支援、および「持続可能な発展」「経済的で専門的な社会」「情報、コミュニケーション、市民のあり方」もしくはまた「古典言語と文化」といった8つのテーマをめぐって5年次から3年次にかけて行われる、「学際的な実用的教育」である。そして「古典言語と文化」は、とりわけ週に最大3時間の配分となるラテン語ギリシャ語への入門をふくむ。


「出来る生徒のオプション」
ラテン語ギリシャ語の教師、PTA、労働組合や政治家といったこの改革に反対する人々にとっては、これでは不十分であり、彼らは2015年に何度もデモを繰りひろげた。反抗を受けた政府は、計画案を見直し、その改革にラテン語の「補足的コース」を組み入れなければならなかった。選択科目と全く同様に 、中学校は5年次に週に1時間、4年次と3年次に2時間の配分を設置することもできる。5年次に「古典言語と文化」のテーマの「学際的実用教育」を提供する中学校を例にとれば、このクラスにいるラテン語をがっつり学びたいという生徒は、補足コース(1時間)に「学際的実用教育」(3時間)を加えるならば、週に4時間の授業に出席することが可能で、これは従来では5年次のラテン語履修者は週に2時間を超えることができなかった。 とはいえ、来年には各テーマの「学際的実用教育」が変更となり、生徒は週に2時間の補足コースに期待する以外にはなくなり、これはそれまで4年次、3年次で可能であった3時間からは程遠い。ギリシャ語に関しては、これからは中学生は「学際的実用教育」で提供されるもので良しとしなければならなくなるであろう。

ラテン語は減るが、ラテン語に関わる生徒は増える。これまで古典語のイニシエーションは少数派を対象としていたのだが、このテーマの「学際的実用教育」を選択する中学校では、すべての生徒がこれを受けることになる。というのは、そこが政府の肝入りであって、社会的なエリートの目印であった「できる生徒の選択肢」を、すべての生徒に手の届くものにする。それは調査結果が示しているところでもあり、国家教育省に帰属する「未来展望および成果の評価部門」が2015年10月に公表した調査報告書によれば、6年次の終わりの時点で最も優秀な10%に入る生徒のうち、その過半数の53%が来年もラテン語を学ぶことを選択している。

これとは逆に、不出来な方の10%の生徒で、同様の選択をしたのは4%だけである(!)。さらにこの調査報告書は、「ラテン語学習は、最も余裕のある階層において選択されやすい」ことを明らかにしている。というのも、オプションのラテン語教育は、教職員の子供で44%、幹部管理職の子供の39%が選択しているが、会社員の子供では20%、労働者クラスタの子供で15%である。それでもやはり「すべての人のラテン語」を口実にするには難点があって、「学際的実用教育」でどのテーマを選択するのか、ラテン語の補足コースを設立するのかどうかは、その施設の熱意次第なのである。このため、いくつかの中学校ではどちらも提供しない、生徒にラテン語の実践経験などは一切与えないこともありうる。この選択は、間違いなくその生徒が所属する地域の社会的状況(?: bassin social)によって規定されてしまう選択である。
(Magazine Littéraire誌 2016:v569-570: p81)