外国人の防衛に、初めてその武器を使う権限を認められた日本軍

アベ政権は、南スーダンに展開している軍に、反乱者によって国連のキャンプが攻撃を受けた場合にこれを防衛する権限を与えた。これまでは、兵士たちがその武器を使用できるのは、彼らを標的とした攻撃に反撃する目的のみであった。


日本では、海外派兵が意味するものに対する問題には未だに極めて敏感である。アベ・シンゾー政権が最近下した、内戦状態にある国家、南スーダンに現在派遣されている、自衛隊の部隊に当てられた任務の拡大を認めるという決断を見れば、これが分かる。

11月15日、アベ内閣は、国連平和維持活動の一環として活動していたこれらの部隊に、「カケツケ・ケイゴ」と呼ばれる軍事行動を遂行する権限を与えるとの決断をした。これを逐語訳すれば「護衛と救助のために離れた場所に急いで行く」という意味である。

2015年9月に、国家安全保障に関して、軍隊の持つ役割を海外にまで広げた異論の多い法制が採用されて以来、これは画期的なこととなる、と左派のアサイシンブンは伝えている。

この新たな規程案によって、2012年から現在に至るまで、国連平和維持活動として非戦闘地域における支援活動プロジェクトに従事していた日本の部隊の任務が、拡大されることになる、とThe Daily Callerは指摘している。

南スーダンの状況は非常に危機的であり、7月に首都ジュバにて衝突が起こった際の複数回の戦闘では、政府軍と国連軍との交戦もみられた。


日本にとっては革命
「カケツケケイゴ」の主要な目的は、離れた場所で働いており攻撃の標的となりうる国連やNGOの職員の防衛である。

昨年採択された日本の安全保障法制では、このような職員を防衛する目的で武器を使うことを自衛隊員に認めており、過去にはこれは日本の部隊を護る目的以外には使用できなかった。

それでも自衛隊員は、武装集団や暴徒を牽制するために、威嚇射撃を行うことができた。同様に、攻撃を受けたり、死の危険を感じた場合には銃撃に応酬することも可能であった。今回の一連の動きは、第二次大戦以来画期的なことである。

青森駐屯地の自衛隊第9師団の隊員たちが、9月20日南スーダンに向けて出発することになるであろう。そこでは、合計350名の兵員増員が派遣されることになる。この部隊の新たな職務は、12月12日から発効する。

自衛隊員たちが、国連平和維持活動の参加国から派遣された他の軍のメンバーと共同して、国連キャンプの防衛を負担することも、理論的には認められるようになるだろうと、South China Morning Postは強調している。


国民を安心させるためにアベ内閣が留保した条件
今回自衛隊に委託される新たな任務に対して、内閣はその見解を明らかにした文書を公表した。この文書では、「カケツケケイゴ」は「極めて限定的な場面で、自衛隊の能力の限度内にある応急的かつ一時的な事態に対処する措置としてのみ実施される措置」(ママ)として定義されている。この措置を実施しうる地域は「ジュバ及びその周辺地域」に限定されている。

同様にこの文書では、他国の軍人の防衛を目的とした「カケツケケイゴ」は、可能なオプションとして考慮しないと明らかにしている。

緊急事態に対して、南スーダン当局もしくはこの法の実施を担当する国連の他の部隊が対応できない場合にのみ、自衛隊員に救援要請があるのだとして、日本政府は、この新たな任務が危険なものとなるだろうという考えを低く見積もっている。

しかし、野党は懸念している。彼らは議会での討議において、自衛隊員が直面しなければならない増大したリスクについて強調している。彼らは、平和維持活動に参加するにあたっては5つの条件があり、そのうちのいくつか(交戦国間の休戦、交戦している各国における日本の国連平和維持活動への参加の承認)が、南スーダンにおいては確実に履行されていないことを明らかにしている。

複数の野党は、自衛隊の部隊が政府軍と交戦する状況となれば、これが国家として交戦権を認めていない日本国憲法第9条に違反することを危惧している。アサイシンブンはその社説で、政府はむしろ、内戦となった場合の撤退案を用意しなければならないと考えている。

日本軍が武力衝突に関与することを懸念すれば、リスクが高すぎると判断されており、憲法の平和主義の精神にも反するこの措置の採択に反対を表明すべく、11月15日にアベ氏の官邸前に数百名の人々が集まった。「安全性が懸念されているのです。それが危険でないのなら、なぜ彼らが武器を携行する必要があるのですか。」とこのデモに参加した東京都職員 チカザワ・キロは問いかけている。
(Le Monde紙サイト 2016年11月18日)