Mouvance identitaire (Identitaire運動)

Identitaire運動とは、社会政治的な運動、思想の一派であり、20世紀の終わりにフランスに登場して新右翼を形成しているヨーロッパ極右の政治勢力を意味している。そこでは、民族的視点から政治を展望し、ヨーロッパの「白色人種」(race branche)を擁護することが強調されている。

この運動の先兵となるものは、Génération identitaire運動、および若年者の組織であるBloc Identitaireであり、これはその理念をヨーロッパ全域に広めようと考えている。

フランスでは、グイョーム・ファイ(Guillaume Faye)がその理論的な中心人物となっている。Identitaire運動は、地方尊重主義者(régionalistes)の団体や、総括的な「les Identitaires」の用語のもとに再結集した国家主義集団、文化団体(Terre et Peuple, Polémia)を包括している。Le groupement de recherche et d'études pour la civilisation européenne enne (ヨーロッパ文明のための調査・研究グループ: GRECE)も参照されたい。

identitaireの活動家、グイョーム・リュイ(Guillaume Luyt)は、旧来の国家主義との区別を下記のようなものとしている。

「国家のイデオロギーであるナショナリズムにおいては、私たちは、土地に対する肉の愛着(attachement charnel)としての愛国心を好む。私たちが敢えて明確にするなら、愛国心には3つの意味がある。つまり、地域への愛国心(肉の祖国)、フランスへの愛国心(歴史における祖国)、ヨーロッパへの愛国心(文明の祖国)である」

この運動は、そのイデオロギーとして、ヨーロッパ白人種である従来からの住民の擁護を強調する。自らを人種至上主義者(racialiste)もしくは民族差異主義者(ethno-différence rencialiste)だと表明するものもいる。国立人権諮問委員会によれば、このIdentitaire運動は、反ユダヤ主義的な政治的動向である。

フランスでセルジュ・アユブ(Serge Ayoub)が率いる極右の連帯派は、この用語「identitaire」を拒絶している。


フランス
フランスでは、この運動は、地方尊重主義(Alsace d'abord, Nissa Rebela, La Ligue du Sud, Ligue du midi)、もしくは 国家主義(Les Identitaire, その包括的な名称のもとに再結集したBloc identitaire, Génération identitaireやRéseau identitéのような他にもいくつかの団体)の、異なる政治団体から構成されている。同様の見地から、文化団体としてはピエール・ヴィアルの主導するTerre et Peuple、ジャン・イヴ・ル・ガルの主導するFondation Polémique mia、雑誌Reflechir & Agir、およびたくさんのブログにも言及することができる。

これとは異なる組織、La Maison de l'identitéは、2002年にジル・スラと先のLe Mouvement national républicainのメンバーたちによって設立されているが、これについては既に全ての活動を停止している。

同様に、 fr.novopress.info通信社もこの動向に組み入れることができるが、それはまさにLes Identitaireから始まったものだからである。これは、いわゆる「強いアイデンテティ」の地域にたくさんの中継局をおいている。(?)

また、今日ではGRECEが「mouvance identitaireの唯一の思考団体」のようになっている。というのも、GRECEの筆頭指導者アラン・ド・ブノワは、アイデンティティーの概念に関して次のように宣言している。

「私たちは、ここでこの言葉を最悪の用法で使うこともできるのですが、そうするとこの概念への信頼を共に損なうことなく、この言葉の使い方への信頼を失わせてしまうことになる。しかしこの概念そのものは、その最悪な使い方をうまく忘れさせることができるはずなのに、それができなかった。identitarismeは最良の結果も最悪な結果ももたらし、外国人嫌いには最も攻撃的となるべく、もしくは公共福祉サービスには利害を超越し公平となるべく働きかける。アイデンティティーは、ポジティブで開かれた方法によって擁護されなければならない。」
GRECEの設立者たちは、今日ではPierre Vial、Guillaume Faye、Jean-Yves Le Gallouのように様々なIdentitaire運動のプロジェクトに関係しているものがあり、その活動方針の確執から彼らは1980年と1990年代にGRECEを脱退している。これに伴って、彼らは広い意味でのIdentitaire運動の拡大と発展に努めている。

Libre-Diffusion出版社は、identiaire運動に組み込まれており、identiaireなテーマについて討議すべく、ジャック・ボンパールのような政治家と同様に、ジローム・ファイェのような新右翼における理論家であった人物を迎えている。(なかでもとりわけ作家のアンリ・ヴァンスノ)


ヨーロッパ
今日では、ヨーロッパのいたるところに、同様に「identitaire」だと宣言する団体があり、例えばドイツのIdentitäre Bewegungは一部でPEGIDAと関係しており、これはオーストリアでもidentitaire運動の一部だと宣言している。スカンジナビア半島ではNordiska Förbundet (Alliance Nordique)、ポルトガルのCausa Identitäria、Union Nationaliste & Identitaire Suisse (UNIS)、ベルギーのGénération Identitaires FlandreおよびMouvement Nationがある。イタリアにおいては、コミュニティー普及センターCasa Poundもあげることができる。



参考映像
Caroline Fourest, Les Enragés de l'identité, documentaire, France 5, 2012, 51 min (lire en ligne)

(Wikipédia.fr)