イトー・シオリ事件でゆらぐニッポン、彼女は首相と親しい人物を強姦で起訴している

イトー・シオリ事件でゆらぐニッポン、彼女は首相と親しい人物を強姦で起訴している


女性ジャーナリスト、イトー・シオリが、強姦された(voilé)として、アベ・シンゾと親しい人物を2年前から告訴している。自らの闘いを公表することで、彼女の国ではいまだに語ることがタブーとなっているあるテーマに関して、彼女はその精神構造をもっとましなものにしようとしている。


ワインスタイン事件に引き続く、性的暴行の犠牲となった女性たちの堰を切った怒涛のような発言は、ニッポンにまで届くのだろうか。いまだに強姦の問題を語ることがタブーとなっているこの国では、2年以上前に起こった古い事件が、今まさに権力の最上層部を揺さぶっている。そして、この件を介してニッポンの社会全体を。

ロイター支局の若い女性ジャーナリスト、イトー・シオリは、2年前に首相アベ・シンゾの伝記著者であるヤマグシ・ノリユキによって、薬物を投与され強姦された(drogué puis violé)として、5月の終わりに彼を告訴することで、この沼に舗石を投げ込んだ、とこの若い女性がLe Figaro紙に語り、同紙が12月27日にこれを報じた。


一時的に嫌疑をかけるが、不起訴となる
強姦(viol)が想定されるこの事態は、2015年4月3日に起こった。その日の夜、彼女は仕事上の会食で、あるレストランでヤマグシ・ノリユキと合流する。「1時間ほどしたら、頭がクラクラして、私はトイレに行きました。洗面台に頭を乗せたことは覚えていますが、そこからは何も」と先月の10月24日に彼女は語る。彼女が目を覚ますと、ホテルの一室にいて、強姦(violer)されている最中だった、と彼女は説明する。

この時に、この闘士の道のりが始まった、と彼女は10月18日に刊行されたその著書、ブラック・ボックスで詳細に語っている。翌朝にピルを手に入れることや、性的暴行と闘う協会とコンタクトをとることの困難さ。そしてもっとずっと複雑なのが、告訴することである。「警察官たちは... この種のことはよく来るけど、捜査を進めるのが難しいのだと説明しました。ジャーナリストのキャリアがダメになるよとか、人生がめちゃくちゃになるよとか」とこの若い女性は語る。

一方でヤマグシ・ノリユキは、強姦を全く否定することになる。「私は法を犯すようなことは何もしていない」と、自分の毎日新聞で彼は簡潔に説明している。それでも告訴した人物の自己犠牲が報われることとなり、司法はアベの伝記作者に嫌疑をかける。


不可解な電話
しかしLe Figaro紙によれば、どんでん返しで全てが覆えることになる。2015年6月8日、警察官たちがヤマグシ・ノリユキを逮捕するために彼を空港で待っていたが、アベ・シンゾと親しい殺人捜査課のトップから1本の電話があり、ぎりぎりで介入を中止する。司法が最終的に不起訴を通知してもいないうちに。

無気力な当局を前に、イトー・シオリはこの事件を公表し、それ以後はヤマグシ・ノリユキを民事で追求することにした。「犠牲者であるイトー・シオリは、自分自身の件に対する捜査員となった」とLe Figaro紙は記している。

「私はジャーナリストです。私の個人的な事例は大したことではないのだとしても、それは社会を換えることができます」10月24日、ある記者会見の際に、彼女はジャーナリストたちを前に宣言する。「素顔を見せることを恐れる全ての女性たちのために、私は素顔をさらして語りたい。なぜなら、ここニッポンでは警察も司法も、性的暴行の犠牲者たちを支援してくれないからです。」


とても孤立した犠牲者たち
強姦の問題を語ることがいまだにタブーである日本では誰もがやりたがらない、メディアを通じた活動である。そして犠牲者たちは孤立状態に直面する。「一部の私と親しかった人々が、私から去って行きました」とイトー・シオリは断言する。

ニッポンでは、強姦は本来の全容が明らかとならない災悪なのである。法務省の白書には、この国における強姦の数値が公表されおり、それでは強姦は人口10万人あたり1例である。しかし専門家たちは、強姦の95%が届け出られていないと考えている。

同省によれば、強姦の事例で告訴になるのはわずか4%のようで、うまくいっても執行猶予である。逮捕された場合には、その53%の事例を検察が不起訴としている。

「権力のあらゆる階層が男性によって占められ、男性原理によって男性の優位性が固定され、女性はそれに従うものだとみなされているこの世界では、その代わりにセクシャルハラスメント、特に職場でのセクハラと性的侵害が討論されることはずっと少ない」と、Les Échos誌は指摘している。


法律上の(小さな)勝利
その反面、ネット上では多くの人々が、加害者と推定される人物とお酒を飲むことを承諾してはダメで、彼女の状況ならこの女性ジャーナリストにも責任の一部があるだろうと考えているようだ。彼女はその著書でNHKのある調査を引用しており、そこでは調査を受けた11%の人々が、この行動を性的合意のサインと受け取ると語っている。

それでもイトー・シオリは、自らの闘いにおいてある勝利を勝ち取ったとLe Monde紙は語っている。6月18日に、議会が法の強姦に関する態様を1907年以来初めて改定したのである。とりわけ犠牲者は、自分のために告訴することを第三者に依頼することが可能となり、一方で強姦の罪刑は懲役3年から5年となる。
(L'Express誌 サイト 2017年12月28日)