パリに報道の自由センターを

パリに報道の自由センターを

「パリ再発見2」による支援の一環による、自由メディアセンターの創設を支持する知識人とアーチストたちによって結成された集団である。
「Le Transfo/自由メディアセンターは、独立メディア、配給者および製作者、出版および教育の専門機関、編集者、非営利機関と教育機関、アーティストのアトリエを含む70以上の機関によって支えられたプロジェクトである]


私たちは、フランスの首都の中心に、報道の自由のための民主主義的な場が実現することを希望します。それゆえに、パリ11区にあるとても象徴的な建物「Nation 1」を取得し、専門機関「Le Transfo」の支援によって改修するために、パリ市の「パリ再発見2」に応募している「自由メディアセンター」プロジェクトを希望します。これは出会いの場であるとともに交流の場であり、ジャーナリズムをめぐる展示の場であると同時に教育の場でもあって、情報の独立と自由の擁護をめぐって団結したメディアに対して、その対象となる地域住民たちが参加する専門的な場となる公共のスペースです。このプロジェクトを主導する者たちは非常に多様ですが、そのことがここでは、この場所を討論と見解、実験的な試み、新たな形の情報の制作と配給の促進、全ての人々に開かれ、彼らを望む全てのメディアが利用できる空間とする責務と全く同様に、多元主義を保証するのです。

知る権利と言論の自由とは、力強く活発な真の民主主義における2つの基本的な原則です。自由な表現と自由な批判、そして意見の相違を認めるという情報の権利は、人類全ての基本的な自由です。生得的なもの、資格や資産、出自や性差による特権を排除することによって、真の民主主義は、あらゆる男女が同様にその選択において自由であってその決断において自立しているために、十分な情報を与えられていることを前提とします。

情報の自由とは基本的な人権であるという、その最も革新的な定義が表明されたのはパリであり、その人物はパリの最初の市長となります。ジャン=シルヴェ・ベリが、人権と市民権の宣言が最初になされた1789年に、「政界を公開することは国民を保護することである」と宣言しており、彼は「通信の自由」を「最も貴重な人権」であるとしました。

1830年の栄光の3日間では、シャルル10世の王令に対してパリ東部の庶民街の数百人の工員と職人が、報道の自由を擁護すべくその命を捧げたのもパリであり、報道の自由は未熟なものにすぎなかったため、彼はそれを制限しようとしていました。


良質な情報
より最近では、この脆く大切な自由に対してあらゆる不寛容・排他性、不耐性がもたらす憎悪を、最も象徴するような受難が起こったのもまたパリでした。発言、批判、思想と風刺の自由をひたすら破壊しようとする全体主義的なイデオロギーの名のもとに、2015年1月7日にシャルリ・エブド誌の編集部の多くが殺害されました。

しかし、こういった象徴的な出来事がたくさんあるにもかかわらず、パリには報道の自由にあてられた場がありません。このフランスの首都は、展示、出逢い、映画、討論、シンポジウム、アトリエ、教育などを、最も幅広い人々、特にこの自由で独立した、徹底した情報の権利を護ることが必要なのだということを受け継いでいかなければならない若年層に提供していくことによって、この基本的な権利に具体的に形を与え、命を吹き込むための場を提供していないのです。

情報の質と清廉さ、多元主義と独立性、人々のメディアへの信頼に関する問題は、いまだかつてなく私たちの民主主義を蝕む不信の中心にあります。ジャーナリズムは、デジタル情報革命に伴う、産業的でもありかつ技術的で専門的な危機、商業的かつ経済的な危機、文化的で倫理的な、歴史的な危機を生きていて、このことが、共に今日のそして明日の報道を考案し作り上げるために、専門家同士の、しかし何よりも全ての市民との共同の見解、共有された体験、刷新された交流をもたらすことになるでしょう。嘘だらけのプロパガンダが新たに民主主義を脅かす一方で、さまざまな条件を前提とする独立した良質な情報は、娯楽の横行のもとで不安定となっています。

市民社会の当事者たちによってもたらされた「自由メディアセンター」のプロジェクトは、私たちの時代からの反逆にあっています。生きた人々を脅かす、その結果として人間性を脅かす文明の危機に直面している今、ガチガチに経済的で利益ばかりを考えているような対応は、解決をもたらすどころかこの状況を悪化させます。それゆえ、民主主義のイマジネールを織り成していくべきこの2つの理念、知る権利と言論の自由とを護り、促進していくために、共に立ち戻り再発見していく場が、今までになく必要なのです。

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Christophe André, 精神科医・作家
Agnès b., スタイリスト
Etienne Balibar, 哲学者
Patrick Boucheron, コレージュ・ド・フランス教授
William Bourdon, 弁護士
Edouard Brézin, 物理学者・科学アカデミー会員
Michel Broué, 数学者
Julia Cagé, 経済学者
Jérôme Clément, Arte社前会長
Daniel Cohen, 経済学者
Catherine Corsini, 映画監督・俳優
Costa-Gavras, 映画監督・シネマティクフランセーズ会長
Matali Crasset, インダストリアル・デザイナー
Jean-Paul Delevoye, 元共和国斡旋官
Mireille Delmas-Marty, コレージュ・ド・フランス教授
Nacira Guénif, 社会学者・文化人類学
Alexandre Jardin, 作家
Pierre Joxe, 弁護士・元憲法評議会員
Laurence Méhaignerie, Citizen Capital会長
Jean-Pierre Mignard, 弁護士
Miss. Tic, 造形artswisteで詩人
Edgar Morin, 社会学者・哲学者
Pierre Nora, 歴史学者・アカデミーフランセーズ会員
Claire Nouvian, Bloom社会長
Michelle Perrot, 歴史学者
Thomas Piketty, 経済学者
Myriam Revault d’Allonnes, 哲学者
Pierre Rosanvallon, コレージュドフランス教授
Henri Seydoux, Parrot社CEO
Christian Streiff, サフラン監査役会副会長
Christiane Taubira, 元司法大臣

(LeMonde紙 2018年10月16日)